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第12話
「私と同室で、嫌じゃなかった? 部長と合い部屋にできるように、もう少し頑張ってみようか?」
「いえ、いいんです」
(むしろ、この方が嬉しいんです)
浮き浮きと、悠希は荷物を智久の部屋に運んだ。
ベッドは、一台しかない。
「私がソファで寝てもいいよ」
「そんな。申し訳ないです」
一緒に寝てください、と悠希は枕を抱いた。
可愛らしい悠希の仕草に、智久は笑顔を作った。
「じゃあ、先にシャワー浴びるから」
「はい」
ユニットバスに入り、智久は悠希のことを想っていた。
バスの中での、大人しく、はにかみ屋さんな悠希。
独りでスキーを滑れるように頑張っていた、負けん気の強い悠希。
滑れないとなると、ふてくされてしまう、子どもっぽい悠希。
そして、雪合戦や橇滑りで見せてくれた、明るい笑顔。
「ダメだ……、可愛すぎる……」
智久もまた、悠希の虜になっていた。
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