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ゆるふわ泥酔注意!(2)
「ゆーたぁ、僕まっすぐ歩けなくなっちゃったぁ。帰りにさ、おんぶしてね!」
「え、もうそんなに酔ったの、とまり?おんぶくらいならできるけど……」
「相変わらず仲良いねー。妬けるわぁ」
ひゅーひゅーと、周りの年上女性陣から冷やかされる。
とまりが好き好きオーラを隠そうともしないもんで、俺たちの関係は、だいたい感付かれてる。
「実家出ちゃえばいいのにー。そうしたらまりちゃんと二人きりになれるじゃん?」
それにはとまりが答えた。
「駄目なのー。僕、お母さんのチーズオムレツがないと生きていけないのー」
「は?なにそれ激カワじゃん。美味しいの?」
「うん。チーズがトロトロカリカリになってて美味しいの。だからぁ、ゆーたにチーズオムレツ作れるようになってもらえれば、いいなぁ、って」
「今、とまりのお母さんに習ってるんですよ、俺。まだまだ修行中ですけど」
「健気だねぇー!!」
気合入れて着飾ったお姉さんたちが、おっさんみたいに腕組みして首を捻り声をそろえて唸った。
「とまりには危なくて料理とかさせられないんで」
過保護とか言われるかと思ったけど、反応は違った。
「そーだよねー。まりちゃんが包丁持ってるとこって、思いつめた顔して両手で握りしめてるイメージしか浮かばないもんね」
うんうんと頷く周囲。
あー。理解のある先輩方で良かった。
「佑太くんみたいな彼氏欲しいなー」
一人の小奇麗な先輩がぽろっとこぼすと、とまりが即座に反応した。
「だっ、だめだよっっ!ゆーたは僕んだよっっ!!」
とたんに皆が笑い崩れた。
涙目のとまりの頭を撫でながら宥めてくれてる。
「私ら、まりちゃんの彼氏は盗らないから。大丈夫だよ安心して」
「ほんと?ゆーた、かっこいいから心配なの」
うぅ。嬉しいけど恥ずかしい。
でも、とまりのこういう素直なところも含めて好きなんだよなぁ、俺。
他はどんなところが好きなのかって?
教えてやるけど、冷やかさずにちゃんと聞けよ?
一番好きなのは……マイペースなくせに、他人のことを自分のことみたいに心配したり、気遣ったりできるとこ。
だから、こんな阿呆みたいにとろくてふわふわした男なのに、ほとんどの女の子がとまりの味方なんだ。
控えめに言って天使。
あと好きなのは、一途に俺のこと想ってくれるとことか、好きってはっきり言ってくれるとこかなー。
見た目?見た目は言ったじゃん。天使って。
明るい色の長くて真っ直ぐな髪を、サイドは流して後ろでポニーテールにしてる。
体格は細身で、俺より一回りくらいちっちゃい。
色白で、どこもかしこも可愛くて柔らかくて……可愛い。
もう駄目なんだよ、俺。
とまりが可愛くて可愛くてしょうがない。とまりのためなら何でもする。それくらい、とまりにハマっちゃってる。
たぶん、母さんのお腹の中にいる時から好きだったんじゃないかな。
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