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第2話
「どっぽちん、今度の土曜日遊びいこうよ」
オレは次の日の朝ご飯の最中に、独歩をデートに誘った。
「悪いが土曜日は昼過ぎまで寝ていたい」
「オレっちと遊ぶのは土曜の夜がいいんだけどー」
「一二三、休み取れたのか……」
「まーね。オレっちだって疲れるし、どっぽに癒やされたーい!!」
「……家以外でお前が癒やさせることないと思ってた。意外だな」
「オンナは怖いけど、どっぽちんが守ってくれるっしょ?だからさ、たまにはいいかなって」
ごめん、独歩。
疲れてるから家で休みたいよね?
でもオレは独歩と出掛けたいって思ってる。
オレと独歩が一緒にいたら、もしかしたら街中で何処かの奴等にラップバトルを仕掛けられるかもしれない。
それでもオレは独歩と出掛けたい。
それに女恐怖症のオレが夜の街に遊びに出掛けるのは怖いし、彼に負担を掛けるのも分かってる。
「……一二三はスーツで行かないのか?」
「うん。私服が腐っちゃうし?どっぽは背広でもいいよ」
「まぁ、俺の私服はダサいからって背広はないだろ……。仕事じゃないなら背広は着たくないぞ」
「えー!!オレっちどっぽの背広好き。じゃ、背広デートしよ?オレも着るし」
「背広デート?お前は変なこと言うな」
こうしてオレは独歩と土曜の夜に背広デートの約束をした。
ごめんね、独歩。
やっぱオレは独歩を知りたい。
オレの知らない独歩がいるのが嫌だから。
その朝ご飯は、何か食べた気がしなかった。
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