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第3話
独歩は昔から器用じゃなかった。
初めて独歩と出会ったときも、こんなに難しく生きてなくて良いのにって思ったし。
だからオレは独歩から目が離せなかったし、ずっと好きだった。
オレは彼をいつから恋愛としての相手として見ていたとか意識してなかったし、もしかしたら最初から彼に好意を抱いていたのかもしれない。
「きっと独歩は、オレがこんなに好きなのか理解してないだろうな……」
彼が会社に行き、オレは一人ベッドに入って独り言を呟いた。
呟いたって誰か聞いてるわけじゃないし、答えは帰ってこないのも分かってる。
それでもオレは呟かずにはいられなかった。
「……」
独歩もオレが好きだと言っていたけど、オレよりは好意を持ってないだろう。
恋人として同棲していても、好きだとお互いに囁きあったとしても、オレは結局片想いなんだ。
執着しているのは、オレが強い。
「愛を売る仕事してるのに、肝心の恋愛は上手くいってないなんて。……泣けてくるしっ」
いっそのこと、ヒプノシスマイクで独歩への愛をぶちまけてやりたい!!
でもそんなことをしても、きっと彼にはオレの愛がどれだけ深いか理解出来やしないだろうなぁ……。
最強ホストが恋愛に悩むなんて、誰も考えてないだろうな。
「……寝よ」
こんなこと考えてても独歩にオレの愛が伝わるわけじゃない。
こんなときは、眠ってスッキリするしかない!!
オレは独歩の顔を思い出しながら、目を瞑って睡魔に身を任せた。
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