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第4話
「どっぽー、オレっちの背広姿どぉ?」
「お前背広持ってたんだな」
独歩は俺のせびろ姿を見てそう言った。
「まーね。人生何あるかわかんないから、とりま背広も持ってたほうがいいっしょ!!」
実はこの背広デートのために通販で買ったわけなんだけど、独歩に教えるつもりはなかった。
背広だけじゃオレはサラリーマンには見えないから、整髪剤を使って髪を後に流し、黒縁の眼鏡をかけた。
「……サラリーマンにしかみえないな」
オレは出来るだけ独歩と同じ雰囲気のするサラリーマンのコスプレをした。
もちろん独歩は普通に会社に行く背広を着ていた。
「さ、行こ」
オレは独歩の手を握り、二人で夜のシンジュクに出た。
「一二三、手を握らないでくれ。サラリーマンが手を繋いでいたらおかしいだろ」
「何言ってるのかな、観音坂君。君の会社の医療器具の話を込み入って休憩しながら話をする約束でしょう」
オレは普通のサラリーマンの会話を想像しつつ演技した。
「……お前、背広デートって。休みの日に俺を営業させる気か?」
「観音坂君が今日はどんな営業をするのか、楽しみだよ」
手を握ぎってないと逃げられるかもしれない。
でも流石に手を握るのは、独歩の営業ではあり得ないだろうな。
そう思ってオレは独歩の手を離し、腕を強めに掴んだ。
そしてそのまま路地を抜け建物に独歩を引っ張りこんだ。
「……一二三、お前どういうつもりだっ」
オレが独歩を連れ込んだのは、レシートのラブボだった。
「いつもみたいに営業してください、観音坂君」
そうオレが言うと、彼は大人しくなった。
そして、腕を引かなくても独歩は俺の後をついてきた。
きっと、独歩はオレがしたいことを理解したんだろう。
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