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第6話

 オレと独歩はベッドに転がった。  久しぶりに独歩と同じベッドに寝転んで、何もしないほどオレは無能じゃない。 「独歩、しよ」 「……やっぱりするのか」  彼はあまり乗り気じゃなかった。  まぁ、その気持ちは分かる。  自分が枕営業で使ってるラブボで本命がセックスしたいって言われたら、普通にイヤだよね。 「どっぽちん?これデートなんだよ。カレシとラブボ入ったら、普通にするもんだ」  オレは普段の口調に戻してみた。 「これ、本当にデートだったのか」  独歩は顔を両手で覆っていた。  いたたまれない気分なんだろうとオレは理解していた。  けどやっぱり彼氏として、本命彼氏として、オレはここで独歩を抱きたかった。 「オレっちの背広姿って中々見れないっしょ?そんでもって、その背広姿のオレっちに攻められなくない?……営業相手よりオレのほうがイイってこと教えてあげる」 「やっぱりお前根に持ってるんだな」 「ヤキモチはやくよ?オレっちはどっぽちんのカレシだもんね」  オレは独歩に覆いかぶさって、目元に唇を落とした。 「一晩泊まってこ。オレとは休憩じゃ済まさせない」  今度こそ唇にキスをした。  独歩の唇は薄い。  その唇が腫れてしまうくらい、吸って甘噛みした。 「……ん」  独歩は少し痛いくらいの行為が好きだから、強弱をつけて舌も可愛かってあげた。  彼の瞳が蕩けていく。  彼の表情が溶けて歪む。  それがとてもオレを高揚させた。 「したいって思ってくれた?」  オレはわざとそう言葉にすると、独歩は小さく頷いた。  オレの彼氏は可愛い。  キスだけで蕩けちゃう、そんな独歩が好きだ。 「じゃ、愛しあおーね」  オレは自分のネクタイを緩めてから、独歩のネクタイも緩めた。

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