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第18話

 俺達が自転車を担いで降りてきた土手の上にある道を、女の子が裸足で走っていた。  ブラウス一枚で。  ズボンも、スカートも、靴さえ履いていなかった。  俺は慌てて飛び起きた。  事件臭すぎる。  「何?」  内藤も身体を起こす。  女の子に気付いて目を見張る。  女の子は俺達に気づいて、河原へ降りてこようとした。  殴られた痕があった。  顔から鼻血や唇がキレていた。  俺達と変わらない年だろう。  怯えた目が俺を見た。  救いを求めて。  ドクン  俺の中で何かがはじけた。  それは怒りだった。  誰かが、女の子を殴ったのだ。  それは許せることじゃなかった。  許していいことじゃなかった。  降りてこようとする彼女を迎えに行こうと走り出した時、彼女が誰かにつかまった。  彼女を追いかけてきた男達だった。  彼女は悲鳴を上げて引きずられていく。  俺は慌てて、河原の土手を駆け上がり、河原沿いにある道路に上がったが、彼女はもう車の中に押し込まれていた。  おそらく、この車の中から逃げ出したのだ。  白いライトバン。  俺は素早くナンバーを記憶する。    俺は河原に戻り、自分の愛車に跨がった。  「内藤 白の○○○○○の△△ □□-45、警察に電話しろ!!」  俺は内藤に怒鳴って走り出す。    女の子は殴られてた。  服まで脱がされて。  警察が来るまでにもっとひどい目にあわされるかもしれない。  待てなかった。    一刻も早く。  なんとかしなければ。  僕は自転車で河原沿いの道路ではなく、河原にあるサイクリング道路を走り出した。  川沿いの道はこのまま行けば二つに別れる。  ちょっと公道とはわかりにくい道と、明らかな公道。  だけど、そのわかりやすい方はこの数日前に土砂崩れのために通行止めになっている。  県外ナンバーの連中はそれを知らないだろう。  奴らが引き返すなら、自転車で先回りすれば追いつく。  追いついてからどうするのかは・・・。  その時考えよう。  女の子は俺に言ったんだ。  「助けて」と  助けないと。  俺は自転車を走らせた。  これほど速く走ったことはなかった。  あの女の子があれ以上殴られたり、酷いことをされないことを祈った。  内藤なら。  内藤ならちゃんと冷静に警察を呼んでくれる。  俺はとにかく女の子に追いつかないと!!  ロードバイクは速く走れる。  それを信じた。  そして、加速した。  信じろ。   自転車を。  信じろ。  自分を。  俺は吠えながら走った。      

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