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第28話
「嘘だろ・・・」
男の声が震えてた。
俺は恥ずかしくなるから男の顔は見なかった。
凶悪な凶器みたいなそれを、必死でしゃぶった。
ぜんぶ入らないから先だけ、そして入らないところは手を使った。
男がしてくれたみたいに裏筋も舐めて。
玉までしゃぶって。
男が呻いた。
低いその声は男が泣いてるからだろ。
キスでも泣くんだ。
そら、フェラならもっと。
喜ばせてやりたかった。
気持ち良くさせてやりたかった。
何故だか良くわかんないけど。
震える指が俺の髪を撫でる。
男のはさらにでかくなり、生き物みたいにビクビクしてた。
こんな恐ろしい凶悪なモノを。
俺は愛しいと思ったんだ。
何でだろ。
気持ち良くなれよ。
なぁ、俺で。
「悪い」
男が我慢しきれないように言って、俺の頭を掴んだ。
強く喉まで押し込まれたけど、それは苦しかったけど、見上げた先にある男の顔が、涙と快楽に歪んでたから。
許した。
可愛かったから。
男が唸り、喉に放たれたそれにむせたけど。
エグい味に閉口したけど。
でも。
俺は飲んだ。
男がしてくれたみたいに。
そして、呆けたようになってる男の顔を見て笑った。
お前、なんて顔してんの。
面白い顔だな。
そう思った。
そして、男に抱きしめられていた。
「何でもする。お前のためなら、誰だって殺す。なんでも手に入れる・・・・・・オレが一番役に立つ。オレは何でもする」
男は必死で囁いてくる。
いや、殺さないで。
誰も。
困るから。
俺は気付く。
男は「好きになってくれ」とも「側にいさせてくれ」とも言わないのだ。
「好きだ」とも言わない。
この男は。
俺からの好意を・・・求めることも、自分の好意を伝えることも出来ないのだ。
何故なのかわからないけれど。
「何でもする・・・」
男は泣いていた。
それが、なんだか切なくて。
「まだするんだろ・・・」
俺は手を伸ばし、男の髪を撫でながら言った。
分かんねーな。
何でこんなデカい凶悪な男が可愛く思えるのか。
でも、可愛かったんだ。
「・・・・・・気持ち良くするから」
男は俺の首を吸って言った。
それが心地よい。
なんだか、今日は噛まれたい。
それがわかったのか、首を噛まれてその痛みに陶然とした。
「オレをお前の中に挿れてくれ」
男は囁いた。
「・・・指だけだぞ」
そこは釘をさしておいた。
さしておいて・・・良かったとおもう。
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