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67.恋する幼馴染
颯希 side
「ゆっきー、松永先輩に何の用なんですかねー」
「ばっか、お前そんなの告白に決まってんだろ!」
「こ、こここ告白?!」
「いや、なんで驚いてるの、普通分かるでしょ」
あの後、突然じゃあ帰るかーだなんて言った裕先輩に連れられてそうちゃんと雪ちゃんだけ部室に残して部室を後にした。
そうして上履きから外靴に履き替えながら会話をしている愁や裕先輩、すばるんの言葉はどこか遠くから聞こえてくる感じで相槌すら打てなくて
「ほら、さっさと寄り道せずに真っ直ぐ家に帰れよー」
なんて言う裕先輩の言葉でハッとする。
「はーい」
「さようなら」
「おー」
「また明日ね」
そう、言って元気よく手を振る愁やぺこりと会釈したすばるんに小さく手を振り替えしていれば
「んじゃ、ま、行くか」
「へ、帰らないんですか?」
だなんて言いながらこちらを振り向きながら再び校内に戻ろうとする裕先輩に思わずそう問いかけた。
「ばっか、お前告白するってわかってんのにこのままみすみす帰ってどうすんだよ、告白といえば立ち聞きだろ、王道シーンだろ」
「先輩の方こそ何言っちゃってるんですか?!漫画とかフィクションならまだしもそんな、告白現場を見に行くだなんて野暮なこと現実ではしちゃダメに決まってるじゃないですか!」
「大丈夫だ、本人には許可を取ってある!」
「え、許可って、」
「ん?告白を立ち聞きする許可」
「いやいやいやおかしいでしょ、なんですか、その許可って、え?」
「1年2人を追い払う代わりに俺達いてもいい?って聞いたら聞かれて困ることじゃないので大丈夫ですって」
「え、えぇぇ、雪ちゃんの意外な一面……いや、それにしたって……」
「颯希は細かい事気にしすぎー、ほら、裏回るぞ、裏」
そう言って校舎の外をぐるりと回って部室の裏へと向えばほんの少し空いた窓の隙間から二人の会話が聞こえてくる。
何だか落ち着かない気持ちになっていれば突然聞こえたそうちゃんの言葉に一瞬で頭の中が真っ白になった。
「……その、悪い、俺ずっと好きな奴がいるんだ。だから神楽坂の気持ちには答えられねぇ」
そうちゃんに好きな人……?
何それ、そんなの俺知らないよ
「知ってます」
え、なんで、雪ちゃんはそうちゃんに好きな人がいるの知ってたの?
俺の方がずっとずっとそうちゃんと一緒にいたのに?
何で俺が知らないことを雪ちゃんは知ってるの?
何で、そうちゃんは俺に教えてくれなかったの?
なんで?
なんで?
そんな気持ちがぐるぐる渦巻いて、気がつけば2人の会話は終わっていたようで頭の中がごちゃごちゃしたまま裕先輩と別れて帰ろうとした瞬間、見慣れた背中に思わず名前を呼んでいた。
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