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3.恋する後輩
愁也 side
「好きって、え、そっち?」
「そっちがどっちか分からないっすけど俺、先輩に助けられて一目惚れしちゃったみたいっす。俺先輩の恋人になりたいし先輩には俺の恋人になって欲しいっす!」
「な、なかなか情熱的な告白だな……。て言うか俺、男だよ?」
「んなの見たら分かるっす!」
「お、おう……」
そうですよね、普通そういう反応しますよね。
いきなり助けた後輩しかも男にこんな事言われて……俺だったら多分状況理解できないっすもん。
そう脳内では冷静な俺が的確にツッコミをいれるんだけどもでも止まらない。
「俺、こんな衝動的な気持ち初めてで、でも何か何かわかんないんすけどめちゃくちゃ先輩の事、好きみたいっす!!」
「まじかー。まさか自分の身にこんな事が起こるとは……」
俺のそんな告白に笹原先輩はブツブツ何やら聞き取れない単語を呟きながら遠い目をしている。
そうして
「ごめんな、俺自分には萌えないんだ」
そう、とても良い笑顔で意味のわからない振り文句を頂きました。
■□■
「せんぱーい!!」
「こら愁、廊下を走るな」
「すんません!でも遠くから先輩を見つけたら嬉しくなってつい、」
「奏汰を見つけた颯希みたいな事言うなよ……」
俺がヒロ先輩と出会って3ヵ月。
あの後意味のわからない振り方をされた俺は諦めるに諦めきれずヒロ先輩が部長をしていると言う漫画研究部に入部した。
だって萌えない?とか意味のわからない振り方されたら諦められないじゃん!
別に嫌いだとか嫌だとか言われたわけじゃないし……
何よりヒロ先輩はあまり男同士という事に関して嫌悪感を感じている訳では無いらしい、むしろそう言う話が好きだと言うのを告白後直ぐに知った。
「萌え、え?何ですか?」
この人は一体何を言っているのだろうか。
「助けられて一目惚れ、シチュエーションはすごくいい。しかもその場即告白とか王道中の王道!!告白の言葉もまぁ悪くなかった。いや、実際ちょっと萌えた!!昔は先輩×後輩物が主流だったが某アニメで後輩×先輩物の需要も一気に高まりもはや王道カプと言ってもいい!ちょっとちゃらついた後輩とそれを正す先輩、めちゃくちゃ萌える、むしろ萌え要素しか詰まっていない、1本それだけで二人の愛の物語が書けそうなくらいには萌える。でもまぁやっぱり俺的には先輩×後輩が大好物な訳ですが、教育と称して無垢な後輩に手取り足取り教えていく!これはもう本当に王道中の王道だろ?!けど、けどそれは第3者的立場として見てたらってだけで自分自身にどうこうとかは望んでないんだよ俺は!!めちゃくちゃきゅんと来たけどそれは恋とかじゃなくて萌なんだよ!!!違うんだよ!!!」
この人は本当に何を仰っているのでしょうか!?
「よ、要するに!別に先輩は俺の事が嫌いとか嫌だとか、男同士ってことに偏見があるって訳では無いんですよね!?」
「それは全く無いな!むしろ美味しい!!」
「おい、しい?だったら俺と付き合ってください!!」
「いや、だからそれは無理だって」
「何でなんすか~」
「だから最初に言っただろ自分の事には萌えないって。あくまで第3者として俺はいたいわけ、遠くからそういう奴らを見守るだけでいいの!そう!俺は壁!果ては空気になりたい!!そしてずっとそう言った二人を見守っていたい」
そう言ってドヤ顔するヒロ先輩は可愛いんだけど、言っている意味が半分も理解できない。
「俺はどうしたらいいんすか……」
「とりあえず漫画研究部に入ればいいと思うよ。後新しい恋を見つけよう、できれば男の!」
そう言ってキラキラした目で見てくる先輩にいや、だから今さっき俺あんたに告白したんですけどっていう言葉は飲み込んだ。
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