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17.恋するアイドル

 陽仁 side 「柊真!?」  そう、振り向いた視線の先にいる柊真を認識した瞬間思わず名前を叫んでいた。  そんな僕の方には目もくれず、柊真は僕の目の前にいる人物に対して敵意をむき出しにして睨みつけている。  最悪なタイミングだ。  柊真にバレたらこうなるだろう事は予測できていたのに、自分から先に話そうだなんて決心を固めようとした直後にバレるとか……  タイミング悪すぎない?  昔から柊真はそういう所あるんだよね、いや今はそんな事考えている場合じゃないってのは分かっているんだけど!  そんな僕の内心の動揺なんて無視して柊真が口を開いた。 「はる、誰だこいつ」 「誰って、それは」  その質問に答えようとして思わず口ごもってしまう。  ち、父親だって言って良いんだよね  いや、説明するならきちんとそう言うつもりだったけどでもあれ、そう言えば直接父親だって言われてない?  いつも母親の話ばかりで自分の話って全然聞いたことないかも  て言うか、そもそも柊真になんでこんな問い詰められるようなことされなきゃいけないんだろう。  確かに秘密にしていたのは僕に非があったかもしれないけれど人と会うってちゃんと伝えていたし隠し事をしていただけで嘘をついていたわけじゃないし  あれ、僕何考えてんだ?  あぁぁぁぁぁもう!  頭の中がこんがらがってきた  いや、そもそも 「柊真こそなんでこんな所にいるんだよ」  僕のその言葉は予想外だったのか 「え、あ、それは」  突然狼狽え始める柊真に 「もしかして家からつけてきたとか」  と、冗談っぽく言えば視線を迷わせて黙り込む柊真に思わず僕も絶句してしまう。 「……」 「……」 「、信じられない!冗談のつもりだったのに、そんなストーカー紛いの事するなんて!!」  そうやって柊真を責めれば開き直ったのかキッとこちらを睨みつけながら 「そ、そもそもはるが隠し事するのが悪い!!」  だなんて言ってきた。 「はぁ?逆切れしないでくれるかな、自分の行為を正当化しようとしてそんな風に言ってこられても困るんですけど」 「逆切れじゃねーし!はるの方が逆切れしてんじゃん」 「別に僕はキレてないけど」 「怒ってんじゃん!」 「怒ってない!」 「怒ってる!」  若干目の端に涙を溜めてそう言いながら睨んでくる柊真に更に言葉を投げつけようとした僕を遮ったのは穏やかな声だった。 「2人とも落ち着いて、注目を集めてしまっているよ」  その言葉に僕も柊真もハッとする。  そんな僕達を見て小さく頷き、柊真へと視線を向け 「初めまして柊真くん、僕は花染桔平(はなぞの きっぺい)です」  と、言葉を放った。  突然自己紹介をしてきた目の前の人物に対し胡散臭気視線をやる柊真の袖を掴み僕も言葉を続ける。 「一応、僕のお、お父さん」 「は」  そんな音を漏らして僕の言葉に曖昧に笑っている目の前の人物、桔平さんを見た柊真の口からは驚愕の叫びが飛び出た。

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