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015 そこを相談:S

 夕食時。また、(たすく)に風紀委員になれと言われた。  あんまりしつこくて理由を聞くと。 『2年全員、ひとりは絶対確保しろって言われちゃってさ。条件は、信頼出来て暴力にびびんねぇヤツ。で、性欲で人襲ったりしないヤツ。頼むよ』 『どうしてもほかにアテがなかったらな』  気乗りはゼロだが、そう了承した。 「聞かせてもらおうじゃん?」  夕飯後。俺とともに自分の部屋に戻った佑が、さっそくテスト前の話を持ち出した。 「気になるヤツって誰? 俺、全力で応援するし。援護射撃するし」  窓際の壁に寄りかかって座る佑と直角に、ベッドを背に腰を下ろした。 「応援は要らない……というか、気にはなってるが、恋愛感情かっていうと……違う気もする」 「じゃあ、どういう気になり方なの? てか誰?」 「……玲史だ。うちのクラスの、高畑玲史」  すぐに思い浮かべられたのか、佑が身を乗り出す。 「あのかわいい子。いいじゃん! タチでやればさ、昔の嫌な記憶は忘れられるぜ」  うんうんと頷く佑に。  知ってもらわなけりゃ、話は進まない。 「あんな見た目だが、玲史はタチだ。ケンカも俺より強いだろうな」 「は……マジ!? 髪、フワッフワで。変態に狙われそうな顔してんのに!? 肌も白いじゃん!」  確かに。  玲史はパッと見、お人形さんぽい。  背も高くない。  着痩せするのか、華奢にも見える……が。 「正面から目合わせてみろ。印象変わるぞ」  玲史の瞳だけは、いたいけな小動物に見えない。時々、秘めた欲と闇をチラつかせ……捕食者の瞳をする。 「へぇ……あの子がタチ……で? お前を抱くの?」  佑の言葉に、身体の奥がカッとなる。 「想像出来な……くはねぇか。かえって卑猥でいいかも、うん。絵的に」 「お前が想像するな」 「へぇ? お前はしてんの? 玲史くんとのエロい想像」  親しき仲の佑は遠慮しない。 「そこを相談、なんだが……」  今聞かなくてどうする。  明日、玲史に会うってのに。 「こないだお前、夕飯の時言ってたよな。抜く時、シン先輩が自分を思い出してくれてるか……って」 「それ。バッチリ」  佑が満面のニヤけ顔になる。 「聞いたら、ちゃんと俺のちんこオカズにして抜いてくれてたの……感動もんよ。俺、シンとが初めてだから自信なくてさ」 「そりゃよかった……」 「水曜にやったの久々で。俺は当然だけど、シンも盛り過ぎて最高だった。縛られてやるのもいいな」  縛……コイツもS気があるのか。  まぁ、いい。趣味は人それぞれだ。 「先輩が嫌がったら外せよ」  軽く笑う俺に、佑が首を傾げる。 「縛られたのは俺だって。あいつを縛るとか、俺がするわけねぇじゃん」 「は……?」  あ……『縛られて』を『縛って』に、脳内変換してたらしい。 「いや、だってよ……お前が抱いてるんじゃ……」 「そう。だから、シンが上乗ってさ。俺はされるがまま……すげー興奮したぜ」  タチのほうが縛られるってのもアリ、なのか。 「お前がそういう趣味とは知らなかった」 「んー? シンが縛りたいって言ったの。あいつ、ちょっとサドっぽいんだよなぁ……そこも好き」  何を思い浮かべてるのか。うっとりした表情で遠くを見てから、佑が視線を俺に戻す。 「俺は絶好調。で? 相談って? オナるネタとどういう……あ」 「妄想しちまう。玲史を」  途中でわかったらしき佑より先に口を開く。 「好きだって気持ちはない、はずなのに……俺は友達を……何でだ?」 「紫道……お前、そんなの気にしてんの? 疲れるだろ」  佑は呆れ顔だ。 「ちょっとかわいい子見つけたら、AV観ながらオカズにするし。頭ん中なら何でもアリだからエグい妄想するの、普通じゃん? 今はシンに夢中だから、ほかはしねぇけどさ」 「……玲史は友達だ。お前、俺で抜かないだろ」 「そりゃな。俺、かわいい系が好みだし」  シン先輩はかわいい系……か? 「シンは俺くらいタッパもあるし、サッパリ男顔で美少年にゃ見えねぇけど。俺にとっちゃかわいいの。好きなら、かわいく見えんの。中身がかわいいの」  ノロケてるが一理ある。 「なるほど……そういうもんか」 「とにかくよ。エロ動画は基本として。好きなヤツか、見た目が好みなヤツで妄想するかってとこだろ。オナニーのオカズなんてさ」 「ああ、俺もそうだったが……今はダメだ」  溜息をついた。 「玲史で抜くのがやめられねぇ……」

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