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087 ほら、イキな:R

「ッう、く……ッ!」  紫道(しのみち)が声を漏らした。わりと大きな、呻くような喘ぎ。  紫道のペニス、触った時にはもう勃ってたし。先っちょだけのおアソビ程度の手扱きで、 すぐガチガチになったから。  このまま静かにイクならイクでいいし。  ギリギリでオアズケもいいし。  でも。  せっかくだから、羞恥心をもっと刺激したいなぁって。  ちょうど、そう思ってたところで。  カウパーでヌルヌルの尿道口をグリグリされた快感で声、抑えられなかったみたい。 「あ……すみま、せんっ俺……んッ力、入っちゃッて……」  言って、翔太が紫道の手を放す……と。 自由になった両手で、無言で僕の手をどかそうとする紫道だけど。  僕にペニス掴まれてちゃ、難しいでしょ。  やめろ!って瞳で訴える紫道から翔太へと視線を移し。 「きみのせいじゃないよ。気持ちよくなっちゃっただけ」 「玲史……!」 「……え?」  翔太と和橙(かずと)が紫道を見る。赤くなった顔から、股間へ。そこにある僕の手へ。 「きみたちにあてられて。僕たちもエロモードなの」 「そ……」 「あ……」  顔を見合わせる後輩2人に。 「ごめんね」  謝り。紫道のペニスを放した。  このまま扱けばすぐイキそうだけど。後輩の前で射精させるのもイイけど。羞恥と快感でイク紫道、見たいけど。  今回はやめとこう。  突然だった翔太のヘルプ要請、楽しめたし。  この2人のセックス、邪魔しちゃ悪いよね。  初めてなのに人前で、とか。  ここで僕たちもやって、勢いで4Pとか  初心な後輩を、流れで僕の趣味につき合わせるのは……よくないじゃん? さすがに。  まぁ、いずれあり得るかもしれなくてもさ。 「僕たちは帰るから。あとは2人でどうぞ。鍵閉めて、郵便受けに入れとけばいいんだっけ?」  立ち上がり、確認。 「は……はい」  上気したままの顔で、答えてくれる翔太。  アナルを解されて準備万端で中断はキツいはず。早くやれるように、さっさと退場しなきゃ。 「やさしく抱いてあげてね、和橙くん」 「はい……」 「悪かった。木谷、その……無理するな」  紫道も腰を上げた。  あれだけ勃ってたの、まだ鎮まってないはずなのに。エラい。 「あの!」  和橙が呼び止める。 「そのままで、大丈夫ですか? 俺たち気にしないから、ここで抜いてったほうが……」  この子。  見た目の印象と違って……。  見込みあるんじゃない!?   衆人環視とか羞恥系プレイとかの、協力者の! 「いや、大丈夫だ」  急いで断る紫道と目が合ったけど、即逸らされた。 「んーもし……どうしてもツラかったら。お言葉に甘えて、洗面所借りるかも」 「おい、玲史……」 「でも、すぐ出てくから。ありがとね」 「はい。ありがとうございました」  お礼を背に部屋を出てドアを閉めた。  紫道に肩を貸しながら、短い廊下を進む。  翔太の部屋は2階で。階段までに閉まってる扉が2つ。そのひとつめを過ぎたところで、立ち止まった。 「ねぇ、キスしようか」  僕の誘いに。無言で屈み顔を近づける紫道の首に手を回し、唇を重ねる。待ちきれないように舌を差し込んだのは、紫道のほう。  人の快感って、伝染(うつ)るよね。  見てたら。聞いてたら。同じ空間にいたら。エロい気分になる。  ましてや、紫道は。  勃起して触られて。抑えてた快感、中途半端に止められて。  その上、羞恥の快感もプラスだもん。  どうする?  こんな快感じゃ足りない、欲を解放したい熱い身体……このまま帰れる?  壁に背をついた紫道が腰を落としてくのを追って、床に膝をつき。口内を舐り合って。吸い合った舌を絡めて離して、見つめ合う。僕を映す瞳が潤んでる。 「お前、は……平気か?」 「うん。平気」   微笑んで頷く僕に、紫道が眉を寄せる。  納得いかない感じ?  自分はイキたくて仕方なくなってるのに、僕は大丈夫で。いつも、涼しい顔してるっぽくて。  実際、勃ってはいるよ。当然。  ただ。なのに、ヨユーあるのは……場数が違うから。セックスと快楽の経験値の差。それだけ。 「きみはツラいでしょ。出してったほうがいいんじゃない? 自分で扱く? 僕がやる?」  聞きながら、紫道の股間に手を伸ばしてジッパーを下ろす。  止める気、ないよね。  遠慮なくパンツから取り出したペニスは、ほぼ完勃ちだもん。 「ッ……玲史……」  人の家でオナるか。  僕にやってってねだるか。 「それとも……ここで犯してあげようか?」  握ったペニスがビクンと脈打った。 「バ、カ言うな!」  想像して期待して焦った顔する紫道に、煽られる。  けど。  挿れるのはナシ。  汚さない自信ないし。 「手で……扱いてくれ」  恥ずかしげに頼まれて。 「オッケー」  指先を亀頭に這わせる。 「うッぁ、ん……ッは……ッぁ……」  すぐに甘い声を上げる紫道。  焦らす間もなくイキそう。  まぁ、紫道は感度イイし。ずっと勃ったままだったし。無理もないけど……ちょっとつまんない。 「あ……もっと、つよ……くッ……」 「ん。でも、もう少し……」 『うあ、アアッやあ……ッ!』  ドアの向こうから、翔太の声。  無事に挿れられて攻められてるのかな。 『ひッア、アッんッ! また、クッ……あアアッそれッやッ、イッ……ッ!』  いいね。  初めてのアナルでしっかり感じてるみたい。  和橙も、初めて男抱くのに容赦ない感じ。  紫道が、ペニスを掴む僕の手に自分の手を重ね。 「玲史……」  熱い息を吐く。 「翔太の声で興奮しちゃった?」 「……ああ、ガマン……できねぇ……くッ」  僕の手を一緒に上下させ、紫道がペニスを扱く。僕の手ごとオナる。 「いいよ」    止めてオアズケするのは簡単だけど、このまま。イカせてあげる。  ヨユーゼロの顔で僕を見て。  後輩の喘ぎ声BGMにして。 「ッあ、いッつッ……!」  耳たぶ咬まれて。 「ほら、イキな」  尿道口引っ掻かれて。 「つうッ! ぁッイクッあアアッ……ッ!」    こらえきれない声上げて、イッた紫道。  かわいいなぁ。  今突っ込めないのが、ほんと残念。

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