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101 やりたい:S
「じゃあ、先に準備してきなよ」
SHRが終わって寮へと直行し。俺の部屋に入るや否や、玲史が言った。
「は? 何のじゅん……」
聞きかけて、思い当たり。
「アナルに決まって……」
「わかった言うな!」
玲史を遮って、声を上げる。
顔がほてる俺を見て、微笑む玲史。
「早くね。あんまり時間ないでしょ? 同室の後輩くん、誰だっけ?」
「坂本……」
「部活終わるの何時?」
「7時頃だが、寮生以外の出入りは夕飯の前まで……つか、わかったってのはそうじゃなくて……」
「やりたくないの?」
「それは……」
聞かれれば、否定出来ず。
「僕はきみとやりたい。今。ここで」
玲史に欲されれば。反応する。身体も。心も。
はじめから、選択肢にノーはないのを思い知る。
「ここじゃ……前みたいに激しいの、は……無理だぞ」
共有スペースにトイレとシャワーはあるが、寮の部屋だ。今はいないが、2時間半もすりゃ同室の坂本が帰ってくる。個室だが、壁の向こうにも部屋がある。廊下に人も歩く。
心置きなくセックスするには不向きな場所でやるなら、玲史にセーブしてもらわなけりゃ……。
「うん。ちゃんと手加減するから。清崇 の話、やってから話せるくらいにね」
笑顔の玲史を見つめる。
ここでゆっくり話をしたいってのは、口実じゃない。そう思ってオーケーした。沢渡 に送られてきた写真のことが、昨日からずっと気にかかって。ひどく不安で。早く原因を聞いて、出来れば安心したい。
だから、まずは話が先だろって……けど。
あとにしたほうがいいか。そうすりゃ、玲史が俺の意識を保っとくはず。
飛ぶまでやるとかしないだろう。
そうと決めた途端。身体に燻り出した欲が増す。嫌な予感も心配も押しのけて、欲情がクローズアップされ。
「わかった。待ってろ」
脱いだブレザーをハンガーにかけるのももどかしいほど、気が急いてくる。
「紫道 」
ドアに向かう俺を、玲史が呼び止めて。
「きみがほしい」
かわいい笑顔はそのままに。瞳だけを獣みたいにギラつかせて、俺を乞う。
「俺も、お前がほしい」
同じ言葉を返す。
含む思いは同じじゃないかもしれないが、ほしいものが互いなことに変わりはない。
「待ってろ」
もう一度言って、洗面所へと急いだ。
手早くアナルの準備を済ませて戻ると。腰かけてたベッドから立ち上がった玲史は、既に全裸で。既に勃起状態で。
それでも。軽くシャワーしてくると言って、渡したバスタオルを手に部屋を出た。
俺もとっくにおっ勃ててるが、いつも余裕な感じの玲史がひとりでいる間からそうなのは……少し意外だ。
時間に限りがあるから、効率よくスタンバイしといたのか。溜まってるのか。そんなにやりたい気分なのか。そんなに、俺とやりたいのか。
俺と同じに、ほしいのか。
玲史も、同じ気持ちで俺を好きなのか……?
それを望んでる自覚はないが、恋愛なら……望むもんなんだろうな。
好きな相手に好かれて。
つき合って。
セックスして。
あとは……何だ?
一緒に飯食って寝て遊んで……未来を約束とかか?
自分の発想に笑った。
昨日から、らしくねぇこと考えちまうのが続いてる。
言動がおかしいのは直ったか?
まだ不自然か?
いや。
らしくねぇのも不自然なのも、嫌な予感のせいだ。
きっかけのあの写真。清崇の話をするためにここに……っつっても。
こうなるのは、ハナからわかってた。
俺の部屋じゃなくても、ゆっくり話せる場所はある。
玲史が言った通り、期待してたんだ。
快楽を。
玲史に突っ込まれるのを。
俺をほしがられるのを。
寮でやるとか。バレたらマズいだろ。坂本が早く帰ってくるかもしれねぇ。声が、抑えられなかったら……とか。
なのに。
やりたい。
玲史がほしくてたまらねぇ!
熱をもって疼く身体はもう、やらずには収まらない。
腰に巻いたタオルの下でちんぽギンギンにして、狭い部屋をウロウロする。
そうだ。これ、どかしとかねぇと。あと、何か汚してもいいもんを……。
畳んだフトンをベッドの足側のパイプにかけ、シーツの上にタオルを敷く。
あ……ゴムがない。
ローションは昨日買ったやつが……。
「何探してるの?」
「ぅわ……!」
背後からの声に、素で驚いた。
チェストの前に屈んだまま振り向くと、すぐ目の前に玲史の股間。タオル越しでもわかる準備万端のちんぽから目を逸らし、立ち上がる。
「ローション……ゴムはねぇが……」
「きみは使わないもんね。大丈夫。僕が持ってる」
笑みを浮かべた玲史が、自分のバッグを漁り。
「温感タイプの携帯ローションもあるから、今日はこっちで」
ゴムの箱と。カップヤキソバのソースみたいなパックと。四角いケースと何かが入った小さなビニール袋を取り出して、それらをベッドに放り。
「準備オッケー」
俺の腕を引く。
「やろう」
待てと言うつもりも必要もない。
のしかかってくる玲史に合わせて、ベッドに倒れ込む。
「れい……っん……」
開いた口を塞がれ、すぐに舌が入ってきて。熱いそれに口内を舐られ、全身がカッとなる。
「う……はぁっ、ん……うっ……ッ」
舌を絡めて吸い合って。
キスだけも気持ちがいいってのに、重ねた下半身からの刺激がたまらねぇ。いつの間にか、腰に巻いてたタオルはなくなってて。俺のちんぽに玲史が膝を擦りつけてて。カウパーで滑りがよくて……。
「もう挿れてほしい?」
「あ……ああ」
「僕も」
身を起こした玲史が、俺の脚を広げる。
「ここに突っ込んで、ぐちゃぐちゃにしたい」
「玲史、今日は……」
「加減するよ」
「っく……」
アナルに、冷たくないローションの感触。
すかさず。玲史の指がズプッと入ってきた。
「っつッ!」
「すぐよくしてあげる」
「あッく、う……ッ!」
性急に動く指が、あっという間にイイところを捉えて攻める。
「少し痛いのはガマンして」
「いッあっ……!」
強引に入れられた2本めの指。痛みはあるが、それ以上の快感が身体を奔る。
「声も。今日はガマンでしょ」
「……ッ、ふ……ぅ、んんッ!」
必死に抑えるも。
さらに広げられたアナルの中を弄る強い刺激に、声が漏れる。
「泣かせてねだらせたいけど、僕もガマン。まだちょっとキツいかな……でも、時間ないし」
指が抜かれ。
「余裕もないから……」
「っはッ……うッくッ……ッ!」
ちんぽが捩じ込まれた。
ものすごい圧迫感に、息が詰まる。
「れっ……い、まッ……!」
待て……と言わずにいられないほど、ナカのモノが凶暴で……俺を射る瞳に透ける欲が強烈で……。
「ッひ、うッ! あ、あアッ! か、はッ……!」
一気に奥まで挿れられたちんぽが腹の奥を突く。
ズズッと抜かれ、またナカを抉る。
痛い痛い気持ちいい。痛い痛い気持ちいい。痛い気持ちいい。痛い気持ちいい。気持ちいい痛い気持ちいい。気持ちいい痛い気持ちいい気持ちいい……。
「ごめんね、乱暴にして……でもっ……気持ちよく、なってきたっ……でしょ?」
涙が出てたのか。俺の目尻を舐めて、玲史が軽くキスを落とす。
俺に腰を打ちつける速度も落ちた。
「ッはぁ、れ……いじ、どうし……た?」
お前らしくない、つうのは……おかしい、か。散々イッたが……やったのはこの前が最初で、まだ2回めだ。
けど、今日の玲史は……どこか……。
「昨日から、きみを抱きたくてしかたないの。今日、どうしてもやりたくて……きみはトクベツだから」
「っう、あッそれ……ッ! くッ……!」
前立腺をゴリゴリ擦られ、集まった快感が弾けそうになる。
「忘れるとこだった」
動きを止めた玲史が、何かを手に取り。俺のちんぽを掴んだ。
「うッ何、を……」
締めつけられるこの感触……。
下げた視線の先。完勃ちのちんぽの根元が黒っぽい……。
コックリングだ。
「何度でもイカせてあげるけど、出すのは1回ね」
楽しげな玲史の声がして、アナルの中を快感が襲った。
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