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103 叫んじまいそうだ:S

「興奮する……あ、きみはリラックスね」  さっき使った温感ローションみたいな細めのパックを開け、玲史が俺のちんぽの先にドロリとしたものを垂らす。 「医療用の潤滑ゼリーだから安心して。ブジーも殺菌済みだし、手も消毒するし」  ケースに入ってたのか、アルコールティッシュらしいもので指先を拭く玲史。 「まだ、けっこう硬いな」 「ッあ……ッ」  最後に出したが、俺のちんぽは半勃ち強で。いくらか萎え気味だったとはいえ……触られりゃ、反応しちまう。 「イキっぱだったから、まだ敏感でしょ?」  潤滑ゼリーってのを尿道口に塗りつけるように、玲史が指先を動かす。 「くッ……うッ!」  ガチガチになるのも時間の問題……。 「ダメ。勃ってると、この中狭くなるし。長くなるじゃん」  そうだ。  痛い……んだったな。よけいに……。 「ま、いいけど」  玲史の笑みはキラキラで、ギラギラ。  そうだ。  サド……だったな。コイツは……。   「なら、やるなら……早く」 「うん。時間なくなるし」  玲史がブジーを構える。  シリコンっつうなら、武器には向かない。ただの棒。  けど。  コレをちんぽに挿すとなりゃ……。 「怖い?」  尋ねられれば。 「ああ。怖い……痛いんだろ?」  想像するだけで萎える……とはいかない。何故だ。 「少しだけ。大丈夫。気持ちイイのが勝つから。それに……」  玲史の笑みが深くなる。  楽しげで。  うっとりしたふうで。  眼光鋭い、サディスティックな瞳で。  自分で言う通り、興奮してるんだろう。 「僕がやるから」 「そうだな」  短く息を吐く。  何をされるんでも。  それが気が進まないことでも。  少しばかり苦痛でも。  玲史がやるなら、気持ちイイコトになっちまうんだろう。 「挿れるとこ、ちゃんと見てて」  言われて、僅かに眉が寄る。 「何で……?」 「ココに棒突っ込まれるの。こんなとこまで犯されるの。どう思う?」  どう……って。 「背徳的じゃない? ちんぽじゃなくてオモチャでだけど」 「……すでにそうじゃないのか?」  男同士でっつーか、アナル使って……ってのが。  いや。今はそんな時代じゃないよな。 「野生動物にも同性愛っぽいのはあるし。オス同士でアナルセックスする種も、かなりあるし」 「そう……なのか」 「でも。コレは人間だけ」  玲史の視線を追って、股間を見る。  透明のゼリーでテラテラした亀頭。玲史の指で、尿道口が横に開かれる。 「じゃ、挿れるね。手出さないで。絶対」 「れ……ッぅく、いッ……ッ!!」  痛ぇ……! 「ちょっとキツいかな。3ミリだけど」 「くッ! 玲史、コレ……大丈夫、なのか!?」  摩擦で痛いとかじゃねぇ!  皮膚、針でぶっ刺さされてるみたいだ……! 「大丈夫。上は輪っかになってるから、全部入って取れなくなることはないよ」  玲史は手元から目を上げず。左手でちんぽを握って真上に立て、右手に持ったブジーを差し込んでく。  少しずつ。 「ッ……ん、ふ……ッ!」  声をガマンする。  喘ぎ声よりマシだとは思うが、ガマン出来るならする。  快感より痛みのほうが、頭がクリアだ。  ここが寮で。廊下に聞こえるのはマズいってのを、忘れずにいられる。  ジンジン痺れるのはちんぽだけ。快感とは程遠い痛みに、萎えてきてる。  玲史が手を止めた。 「痛い?」  こくこくと頷く。  目が合った。  俺を見つめる玲史の瞳はやさしげだ。 「あと半分」  視線を落とした玲史が、手を動かす。 「う……ッ……ッ」  ゴツい衝撃はない。  痛みに慣れてきた……気がする。  無意識に後ろ手で掴んでたベッドの柵から指を離す。  痛いは痛いが、玲史は……俺を痛くするためにコレをやってるんじゃないのがわかる。  もっと雑に。強引にやれば、もっと苦痛を与えられるはず。 「平気になってきた?」 「だいぶ、な……」  呻かないように、呟いた。  まだ、鈍い痛みは続いてる。 「もうすぐ、前立腺の中」  ちんぽが腹側に傾けられる。 「勃ってるから、長さギリギリかな」  20センチは余裕でありそうなブジーは、大部分がすでに埋まってる。  あの長い棒が。俺のちんぽに刺さってる。根元まで届いてるだろう。それ以上、挿れて……本当に大丈夫……。 「ッッあ、アッ……!」  いきなり、快感。  いきなり、ど真ん中。  いきなり、気持ちい……ッ!? 「きた? ココ?」  玲史がブジーを小刻みに、左右に動かす。上下じゃなく。 「ぁアア……れい、じッ!」 「じっとしてて。手出さないで」  ちんぽを握ったほうの玲史の腕が、俺の腰をシーツに留める。  思わず伸ばしそうになる手で、後ろの柵を掴み直す。  ブジーの先で、快感が奔りまくる。  ちんぽの奥がぶるぶる震える。 「尿道って、前立腺の中通ってるから。イイトコロ……直につつけるの。どう?」 「ッア、す……イ、んッ! ん……ッく、ン……ッ」  初っ端からイケるくらいの、つーか……なんだ? コレ……!?  あ……イキそ……。 「くッもう、イク……ッあ……!? 」 「クる? ていうか、イッてるよね。ガツンとはイカないけど、イキっぱの感覚?」  玲史の言う通り。  いつイッたかわからないが、直後の感覚が……続く。  下半身はビクビクするが、頂点がない快感の波で……。  ドライでイクより緩い快感で……。  けど、ハンパなくて。  イキそうで。  イッてないのに、イッたあとで。  イキそうイッたあとイキそうイッたあと……。  おかしくなんだろ!?  すげ、気持ちイイ……けど、爆発はしねぇ。  意識剥がれねぇから、溺れらんねぇ。 「ぁ、玲史……ッこ、れッ……」 「絶妙でしょ」  玲史はブジーを細かく揺すり続けてる。 「痛いの忘れた? 気持ちイイ?」 「い、い……けど、もうッ抜い……て、くッ」  痛みなんぞ、とっくに快感に取って代わられてる。  こんな細い棒で尿道いじられて気持ちよがって。気持ちよくて。喘いで息上げて。ぶるぶる震えて。イッてんだかイッてねぇのか、わかんねぇまま。  ずっと気持ちイイこたイイが……快感が溜まらず弾けず流れてくみたいな、先が見えないのは……叫んじまいそうだ。 「イイならいいじゃん。まだ時間あるし」  俺を見て、玲史が笑う。 「楽しいし」 「はぁッは、玲史……挿れて、くれッ!」  目を合わせてたら、口から出た。 「お前の、俺に……ッ」 「……じゃあ、問題」  俺の尿道をなぶる手を休めず。唐突に、玲史が言う。 「きみが今、ちんぽにブジー突っ込まれて感じまくってるのは何故でしょう?」 「ッは……何……」 「1番。痛いのが好きだから。2番。気持ちイイのが好きだから。3番。僕が……僕に攻められるのが好きだから」  な……んだそれ……。 「答えは何番?」  頭はクラついちゃいないが、余裕もない。  この中で近い、のは……。 「3ば、ん……ッ」  玲史が俺を見つめる。  どこか、何か……言いたげな瞳で。 「正解」  微笑んで、視線を手元に移した玲史が。 「イッ……!」  ブジーを抜き始めた。 「つッう……ッ」  少しして、ちんぽが上に向けられて。ズルズルと、ちんぽの先から棒が出てくる。それを見てると、視覚からも痛い……が。  ひっきりなしの快感でマヒしちまってるのか。  ちょっと、ぞわぞわする快感も……。 「うあ、くッうッ……ッ! あアア……ッ!」  ラスト半分くらい。一気に引き抜かれれ。  同時に。ちんぽの根元を強く握られた。  せり上がってた快感がストップ。イケそうな、出せそうだった感覚が……押し留められる。 「ッア、はぁッ……はぁ、は……ふ、うッ」 「すぐイカせてあげるよ。3分でイクから」  身体が引っ張られ、頭がベッドについた。  脚を上げられ開かれ。 「れっ……まッ、いッッ!!!」  こじ開けられたアナルの痛みで、涙が出る。  痛みに重なる刺激はすぐに快感になる。  ナカで玲史のちんぽが擦る。抉る。穿つ。  いつでもイケる……じゃねぇ。  ほとんどイッてんだろ! 「アッもッと、もッう……イクッ! れいッじッ! 「んっ、いいよ……僕もッ……ッ」  ゴツくアナルの奥を突きまくられ。  ちんぽに開放感。 「ッッッ! ひッアアアッ……ッ!!!」  やっと爆ぜた快感。  カクつく腰。  震える脚。  アナルが気持ちい。  腹が熱い。  ナカが気持ちい。  唇が熱い。  口ん中が気持ちい。  どこも溶けちまいそ……だ。 「ッん……はぁッはぁっ、はぁ……」 「紫道(しのみち)は僕の、だから」  視界いっぱいに映る玲史が微笑む。 「でしょ?」  聞かれて。 「ああ……」  頷いて。 「お前、は……?」  聞き返す俺の唇に、玲史が歯を立てた。

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