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129 好きな男の名前、でしょ?:R
宣言通り。友井のセックスは容赦なく。
早々に探りあてた前立腺を集中して突かれ、すぐにイカされて。そのまま、休まず緩めず突き続ける友井は無表情で。ペニスはバキバキで獰猛なのに、冷めた顔して。
性欲からの、自身の快感を得たいじゃなく。もちろん、僕への好意からの気持ちよくさせたいでもなく。
何のため……って。
ボロボロにするためじゃん。
僕を抱くのは、純粋に痛めつけるため。精神を。心を。
恋人の前で犯される恥辱とクズにイカされる屈辱と。嫌なのに期待する自分への嫌悪と、ほかの男に抱かれて喜ぶ恋人を目にする悔しさで……傷つくサマを見るため。
トンチンカンな復讐? 腹いせ? 気晴らし?
自分でどうにもならない怒りを全部、僕にぶつけるみたいに……。
「どうして、こんなこと……オーケーした?」
僕をメチャクチャ犯しながらの友井の問いに。心の中で、呆れて笑う。
そっちがオファーしたくせに。何その『オーケーしやがって』みたいなの。
ノーなら、今日で終わらない。
こっちに非がない不運の報いだか身勝手な理屈の復讐だかで、狙われる。神野 の気が済むまで延々と。明日かあさってか、いつかは知らない。どこで何されるか、わからない。
返り討てるとは思うけど、そしたら……よけい終わらない。
そして。
本当の恋人がバレる。
そのリスクは負えない。
神野と、博己 と。今日ここでキッパリ縁が切れるなら。
清崇 と僕がお互いを差し出す理由として、弱いかな?
神野は納得した。清崇が博己を抱く選択はないと踏んで、八代と城戸 を用意しておいた。清崇が博己を完全拒否して、博己は僕を犯した。
それは清崇との決別でしょ、ある意味。
コトは、神野の思惑通りに進んでる……んだけど。
友井は納得してないのか……ていうか。
八代たちと違って、ただの輪姦要員じゃないのか。神野と同じ? 博己のことで清崇と僕に痛い目見せたいの? だったら、望んだ状況じゃないの?
何が不満?
「ほかの選択もあった、はずだ」
呼吸が苦しいのもあって答えずにいると。
動くのをやめて、友井が続ける。
「相手にに一切手出ししないなら自分はどうなってもいい、何でもやるってならわかるが……どっちもやられるんじゃ、意味ないだろ」
「そう、かもね」
じくじくする快感を無視して、答える。
「でも、意味……あるから」
きみの知らない意味。知られたくない、知られちゃダメな意味。
「こんなの、平気。僕も清崇も、大切なモノは……守れるから」
本当は、事実だけど。
精一杯強がってるふうに見えればいい。
「そうか」
友井が、バスローブのらしきヒモを取り。
「気持ちは揺るがない……か」
僕の両手を縛り上げ、二の腕に固定した。頭上じゃなく胸の前だけど、肘を曲げた状態から伸ばせず。自由は利かない。
逃げないし。抵抗もしないのに……。
「ッ! い……ッあ……ッ!」
友井が律動を再開する。
ピンポイントでの、イイトコロへの刺激。的確に。速く。強く。
「うッ……あ、くッ……! あッイッ! んんッッ!」
さっきより早いペースでイッた。
マズい。
出すのはまだ3回めだけど、立て続けじゃ……出なくなる。すでに、今の薄い。水っぽい。
普段と違うところからの慣れない快感で、射精のコントロールが出来ない。
「お前は……清崇を呼ばない、んだな」
友井は全然余裕そう。
「向こうは、お前を呼んでただろ。助けを求めてたのか……もっとくれっつってたのか、知らないが」
演技、のはず。
清崇が僕の名前を口にするのは、難しくない。ひと月前まで、何十回もそうしてたから。
我を忘れるほどにならない限り、幸汰 の代わりに僕を呼ぶ……僕が恋人だって思い込んで演じられる。
けど。
僕には難しい。
そもそもが、セックス中に喘ぎながら相手を呼ばないし。タチだから、懇願することもないし。
でも。
今は、やられてて。
そのうち、余裕はなくなる。演じ切る自信はあっても、つい……口走っちゃうかもしれない。
紫道 ……って。
わざとじゃなく。演技でもなく。どうしようもなく快楽に浸されて口にするのは、たぶん……紫道の名前だ。
しょうがないよね。
ほしいのは、紫道なんだもん。
どっちにしろ。
僕が呼んでも、清崇には聞こえない。
予想外に八代が長く保って。しかも、八代のペニスもうまいこと合ったらしく。何度か連続でイカされた清崇は、少し前に……飛んじゃったみたい。
コレも、しょうがないこと。
八代はうまくコントロールして攻められなかっただろうし。清崇には、がんばって長く楽しもうって気がなかっただろうから。
八代と入れ違いにベッドに来た神野は、まだ清崇に何もしてないっぽい。
「ヤツを呼べよ」
清崇が飛んでるの、友井も知ってるくせに。
「助けに来ないのがわかってて、ソレにすがって見せろ」
突然、ペニスにゴツい刺激がきた。
ドロドロな亀頭から根元まで。痛い強さで扱かれる。扱かれる。扱かれる……。
3回射精したペニスは敏感で。精液まみれの肉は滑りもよくて。男を抱く時やオナる時は加減出来る快感が、勝手に押し寄せて。
「くッう……ッッッ!」
ムリヤリ気味にイッた。
イッたあとの心地よい脱力感なんかない、強制的な射精はキツい……。
「ッは、あ……ッや……ッ!」
友井の手は止まらない。
プラス。
アナルの中のペニスの動きが加速する。
「あッ……ッ! つぅッ! ッ……ッッッ!」
カリで前立腺を擦ったペニスが奥を突く。
内蔵にくる衝撃に息が詰まる。
鈍い痛みより、鋭い快感がナカを巡る。慣れない刺激が捌けない。苦しい。苦しいのに。苦しいのと気持ちいいのが一緒に襲う。
この男……ヤバい。
この攻めは……。
イキたくない……もう、ツラい……のにっ……!
「出せよ。まだ、イケるだろ」
「ッあア……ッ! ンッッ……ッ!」
友井に言われると同時に、勢いなく精液をこぼした。
「ハァッはぁッ……はぁ、は……アッ!!」
放されたペニスに安堵したのも束の間。友井のペニスが前立腺を細かくつつく。擦る。
イッてすぐなだけじゃなく。短時間で4回出した上でのソレは、想像以上にキツくて。
「うあッ……それ、やッ……!」
「終わらせたいなら、俺に……クズにやられてイキまくって、ヤツを呼んで……泣き叫べ……!」
その言葉に。縛られた手を限界まで動かして、指を口に持ってって咬んだ。
イキまくって醜態晒すのはかまわない。
泣くのも叫ぶのも。
だけど。
紫道の名前だけはダメ。
呼ぶなら、清崇にしないと。
なのに、自信がないから。
助けてほしいんじゃなく。
すがりたいんじゃなく。
経験ないけど、泣くほどイキまくってる時に口から出るのは……。
好きな男の名前、でしょ?
「んッ……う、あ……ッ!」
今ならまだ、清崇って呼べるけど。何でだろ……気が進まない。でも……。
不意に、友井が横を向く。
「何、してる!?」
な、に……誰に言って……?
「ライブ中継。続けてよ」
友井の視線を追った先に、スマホをかまえた博己がいた。
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