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149 起こしたくねぇ!:S
うッア、玲史……も、う……やめッ無理、だ……ッ!
押し寄せる快感に追いつけなくて。つい口走りそうになる言葉を、内で叫ぶ。
やめろ、とか。
無理、とか。
嫌だ、とか。
今日は言わないと決めた。
やめなくていい。
無理じゃない。
嫌じゃない。
本心じゃない。
今日は、玲史の好きにしていいと思った。
玲史の気が済むまで。満足するまで、好きにしていい。好きにされたいと思った。
何でもしてくれ。
本気でそう言った。
何をされてもいい。玲史がしたいことなら何でも。俺をどう抱こうがどう攻めようが、かまわない。
俺をほしいなら。
俺を求めるなら。
俺で満たされるなら。
それを、俺も望んでる。
玲史がほしい。
ほしくてたまらない俺の欲を、玲史が満たす。俺が上で腰振れなくなってからも、何度も。何度も。何度も。
玲史を呼んで。キスをせがんで。イッて。ほしがって。イキまくって。
意識を失くさないようにがんばっても、何度も飛んで。何度も戻って。
痛みも快感。羞恥も快感。玲史がくれるもんは、何でも快感。全部食らう。全部やる。
快楽の中で、感じるのは玲史だけ。
ほかは要らない。ほかはどうでもいい。
こんな場所があるってこと、初めて知った。
身体も心も気持ちがいい……が。
限界なんぞクソくらえ……だが。
とけても狂ってもグチャグチャになってもかまわない……が。
玲史は大丈夫か?
俺のナカでずっとバキバキで。ずっと腰振り続けて。やっと、さっきイッた……のに。まだ、俺を……。
ッア、う……ッまた、クる……ッ!
ずっとイキっぱなしの感覚で。ずっと快感は消えないのに、イク。強く。弱く。強く……。
何か……おかしい。
ナカ、今も攻められちゃいるが……。
違う……。
玲史じゃ、ない……!?
もう、自分の触覚は信用出来ないくらいブッ壊れてて。身体はドロドロ。頭はグチャグチャ。ブッ飛んじまってて。目もかすんで滲んで、開いてんのか閉じてんのか。今……寝てんのか起きてんのかも、よくわからない。
ただ、気持ちイイのだけ……。
くッそこ……そんなびみょ、うな刺激……ッ!
うまく動かせない手を上げて、すぐそこにある玲史の腕を掴もうとした。
とっくにうまく喋れなくなってるが、玲史はわかってくれる。俺がどうしてほしいのか、言わなくても……。
「れ……」
掠れた声を飲み込んだ。
手が、空を掻く。
瞬いた目の焦点を合わせる。
見えたのは、玲史……の、頭。乱れた髪と、動かないつむじ……?
視線を下に向ける。
見えたのは、玲史の肩。手。腕。胸。膝。腿……ちんぽ。
はあ……!??
なん、で……じゃあ……今、俺の中に入ってる……のは……。
あ……俺の脚。閉じて……。
横向き、だ。
俺と玲史、向かい合わせに横になって……。
「ん……」
玲史が身動ぐも。
その後無言。
胸板が上下するだけ。
じっとして、動かない。
ナカでじくじくする快感を堪えて、身体を下にずらした。
玲史は目をつぶってる。
白い。穏やかな顔。
これ……。
寝てるだろ。マジで眠ってる。
なのに。
俺の、この……俺を攻めてんのはいったい……。
まさか……じゃない。ほかにあり得ない。
ナカにある、コレは……。
オモチャだ。
ソレしかない。オモチャが入ってる。
ナカで、延々と……ッう、また……きちまうッ……!
少し前までの半分夢ん中にいるみたいなのと違って、完全に醒めてる今。刺激は弱いくせに快感は強くて、ア……ッッ!
身体の痙攣は抑えられないが、声はガマン出来た。どうにか。何とか。
玲史を起こさないようにしなけりゃ。
消耗して疲れてる玲史を、キッチリ休ませてやらなけりゃ。
せっかく眠ってんのに、俺が起こすわけにはいかない。
俺とやって満足して、やっと眠ってるんだ。
さっき、最後にやっとイッて……イッたよな? 意識飛ばしかけてたが、玲史がイッたのはわかった。わかって、わかったから安心しちまって……失神。
時間、どれくらい経ってる?
今何時だ?
ライトがついてる。この部屋に来た時はまだ日が落ちてなくて、ライトはオフだった。やってる間に暗くなってきて。何十分……何時間、やってたのか。眠ってたのか。わからない。
何にせよ。
自然に目覚ますまで、玲史を眠らせてやりたい……が。
どうする?
このまま……耐えられるか?
いや。
外せるだろ。
手も脚も自由だ。どっかに括られちゃいない……が。
変な……ベルト、みたいな……パンツ、みたいなもん……はいてるっつーか、着せられてる!?
パンツじゃない。ちんぽが丸出しだ。半勃ちで。根元にベルト。ウエストと後ろに繋がってる。後ろは、アナルのとこは布っぽいので覆われて……。
「ッひぁ……ぁッ……ッ!」
思わず出た声を殺す。
よかった。
玲史は起きてない。
ツルツルした生地の下。硬い出っ張り……オモチャの一部か。触ったせいで、動いたのか。ズレたのか。
とにかく。
この布とベルトで固定されてるらしい、このオモチャ。どうにか外せないことはない。鍵とかはついてない……が。
コレ、玲史だろ?
飛んで意識のない俺のナカに、オモチャ入れて。外れないように、おかしなもん着せて。放置……?
あ……下。シーツ、変えてある。俺がびしょ濡れにしたはずなのに、乾いてる……少し、また出しちまってる分濡れてるが……。
身体。胸も腹も、ベトベトじゃない。拭いてある。
玲史が全部、後始末してくれて。そのあとで、俺をこうして……寝た。
何のためだ!?
俺を攻め続けるため。快楽を与えるため。快楽に狂わせるため……。
そうか?
もうとっくに、グチャグチャのドロドロだったのに?
これ以上?
足りなかったのか?
でも……眠ってちゃ、見れないぞ?
玲史は、俺を攻めるのが好きだ。
過ぎる快感に泣いて乱れてイッてほしがって。苦痛も羞恥も気持ちよがって、限界まで快楽に溺れさせて。そうなった俺を見て楽しむのが好きなはず。
なのに。
今。もし。手足が縛られてるなら、わかる。
ツラくて叫ぶ声で呼ばれて。目を覚ました玲史は、限界の俺を見て満足するだろう。
けど。
ツラくなりゃ、自分でコレを外せる。
外せるようにしてあるのか?
それじゃ、意味なくないか?
耐えられなくなって声上げちまう前に、オモチャは抜く。
玲史を起こしたくないからな。
今だって、もう……けっこうキツい。敏感になっちまってるナカは、ちょっとの刺激でイケる。つーか、ずっと……イッてる感じにまた、なっちまってる。
このオモチャ。何だ? バイブみたいに動いちゃいない。音もナシだ。でも、動いてる感じが……細かく、ピクピク……オモチャじゃなくて俺か? 俺が動いてんのか?
わからない。
わからねぇ……のに。何で、そこばっか……イイトコロばっか、あたって……あ、アッ!
口に指を突っ込んで、声を堪える。
ッッッ! や、アア……ッ! な、んで……それッ! やめッう、ンンッン……ッ!
イッた衝撃で、オモチャが動く。あたる。あたって、また……バカみたいな快感、連続で……。
クるッ……ッ!
指を噛む。噛んでなけりゃ、叫んじまう。
オモチャ、が……ヤバいとこにハマった、のか……コレ、無理だ。
今すぐ、外さなけりゃ……。
片手をベルトにかける。ヒモみたいなやつを解けばいい。布が取れりゃ、先が出てるオモチャは引っこ抜ける。震える手でも造作ない……あ。
思った。
回らねぇ頭で、思っちまった。
玲史は……。
俺が外すと思ってねぇ!
外せても、自分で外すとは思ってねぇだろ。そんなことはしねぇと。玲史の楽しみを奪うような真似はしねぇと。ガマンしきれなくなったら、自分を呼ぶだろうと。そう思ってる……はず。
いったん思っちまったら、ほかに考えられねぇ。外せねぇ。
でも。玲史を……。
起こしたくねぇ!
力が入ったのか。ナカでオモチャが動く。ツクツクじんじんカクカク、触れりゃ爆ぜる快感。
くッ! イクッ……ッッッ!!!
腕を噛む。
腰がビクつく。脚がガクつく。
耐えろ耐えろ耐えろ。
気持ちいツラい気持ちいツラい。
こらえろこらえろこらえろ。
立て続けにイキながら、耐える。気持ちい。ツラい。気持ちい。こらえる。
声出すな!
玲史を起こすな!
玲史を休ませろ!
玲史が好きだろ?
好きなら出来るだろ?
静かにしてろ!
ドライでイキ続けた。
精液も飛ばした。
玲史は眠ってる。
眠ってる玲史がよく見えねぇ。
玲史に触りたい。
れい、じ……もう……いや、まだ…。
血の味がした。
やたらとデカい音でスマホが鳴った。
玲史が動いた。
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