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第8話(3-2)※R18
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LIVEを終えてホテルに帰った翔。
だいぶ疲れが溜まり、身体がダルいのだが、
珊瑚が"今日はあんたが上でいーよ"なんて言うものだから疲れなど吹き飛び、意気揚々とシャワーを浴びてベッドへ向かった。
「どーしたの?
え、ホントにいーの?」
「いいって言ってんじゃん!
ヤんないならどけよ。」
「いやいや!
したいですっ!!
すっげー頑張るよっ!!」
鼻息荒くキスをする翔に苦笑する珊瑚。
抱かれている時の珊瑚は控えめの喘ぎや奥を突くと思わず歪むキレイな顔がとても可愛くて、翔は全力で愛でることにしている。
「ちょっと…!
せめてバックにしてよ…っ!」
体位に文句を言う珊瑚だが、翔は顔を見たいからと正常位で彼を抱く。
「っ! は…ぁっ!」
座位に変えたら膝を使って自分で動いてくれたので、抱いている翔の方が煽られるくらいクるものがあったようだ。
「可愛過ぎる…っ!!」
キツく抱き締めてキスをして、再び押し倒す。
絶え間なく珊瑚の中を攻め続ければ、お互いが溶け合うように気持ちが良かった。
「くっ、…ぁ…っ! あ。い、くっ!」
「俺も…っ!!」
同時に果てて見つめ合えば、自然とキスを交わし…まるで恋人同士のような気分だ。
「…次からしばらく俺が下でもいーからさ。
…もう一回抱かせて。」
「…LIVE後のアラサーの割に元気だな…(苦笑)」
珊瑚の台詞をOKと見なした翔は再び彼に覆い被さってキスを繋いだ。
翌朝
翔が目覚めると部屋には珊瑚も彼の荷物もなくなっていた。
「くそっ! やられた…っ!!」
行き先も何も告げずに突然どこかへ行ってしまったのだと悟り、怒りよりも悲しみが全身を襲った。
その手は、身体は、確かに明け方まで彼を抱いていたはずなのに…
感触だけは記憶に残ったがそこに温もりはない…。
思わず涙ぐむ翔の目に、光る何かが映った。
珊瑚が作業で使っていたホテルのデスクの上に「カナダへ行く。
LIVEがんばれ」という二言だけのメモと綺麗な十字架のネックレス…
多分珊瑚がいつも身につけていたもので、ファッション用ではなく、きちんとしたキリスト教のお祈りで使うようなもの…。
「自分の代わりだと思って持っててっていうか、多分…珊瑚の性格なら貸したヴァイオリンの代わりってこと…?」
翔は首にネックレスを手に握ると必ずまた逢えると自分に言い聞かせた。
結局、珊瑚は一度もLIVEを観に来てはくれなかったが…"がんばれ"と言ってくれるということは応援してくれているはずだ。
今は自分に出来ることを精一杯頑張ろうと、翔は決意し、今日のLIVEへの気合いを入れるためにシャワーを浴びに行った。
珊瑚のいない寂しさは日に日に翔の心を荒れさせた。
しかし後のバーベキューで川辺を黄昏ながらネックレスを眺めていると、凪と一緒に顔を見せた紅葉(珊瑚を思い出すので実は今一番翔が会いたくない相手)がきて、ネックレスが母親のものだと告げた。
翔は慌てて首から外し、紅葉の手に渡すと間違いないと言う。
「僕はお父さんのヴァイオリン、珊瑚はお母さんの十字架をもらったの。」
形見ならば紅葉の手から珊瑚に渡してもらうべきだと翔が言うが、しばらく悩んだ紅葉は…
「珊瑚が翔くんに預けたなら翔くんが持っててあげて。」
そう言って微笑むとしゃがんでいる翔の首にネックレスをかけた。
そんな大事な物を…と涙ぐむ翔に凪は、
「首輪なんじゃねー?」と冗談っぽく言った。
確かに…
珊瑚の母親に見守って(見張られて?)いるなら中途半端なことは出来ないと、涙を拭いて立ち上がる。
「よしっ!!
ちょっと俺、夕陽に向かって走ってくるっ!!」
「はーっ?(笑)」
凪に笑われながらも駆け出さずにはいられなかったのだとか…。
end
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