25 / 44

遠距離恋愛編(1-2)※R18

金曜日の夕方。 珊瑚の仕事帰りに待ち合わせて、街を歩きながら買い物をし、適当な店で食事をとる。 ドイツビールとソーセージが最高に旨くて翔はさすが本場だと呟いた。 「ありがと…。鞄…靴も、服も。 なんか結局貢がせてる…!」 「えー?誕プレだよ? 遅くなってごめんね? 一緒に選べて良かった。」 「うん…。 翔の誕生日…年明けだっけ? 欲しい物ある?」 「物はいらないけど、珊瑚に会いたいな…。 俺、これから年末年始モードでちょっと忙しいからさ…。出来れば珊瑚が会いに来て? ドイツのクリスマス見たかったけど、日本でもなんちゃってクリスマスマーケットあるらしいし!一緒に行かない?」 翔も多少自由のきく仕事ではあるが、LiT JのLIVEやバンド以外の音楽活動も担っていて忙しい身だ。そう何度も会いに来れるわけでもない…。 しかし珊瑚もカメラマンの修行中でケアの必要な家族を抱えている…。 「クリスマスは俺、サンタになんないといけないから…」 「そっか!そーだよね! えー、いーなー!俺もサンタになりたい…」 「…翔はトナカイのイメージ(笑)」 「えー?(笑)まぁいーよ、トナカイでも。 サンタさん、プレゼント配り終わったらイイコトしよーね?」 「アホトナカイ…!」 「はは。そっかー。じゃあプレゼント送るから!クリスマスのあと年末でも年始でも…会いたい。」 「…チケット高ぇーよ。」 「光輝が出してくれるよ。」 「年下の後輩に集るなよ(苦笑)」 「いや、あの方、仕事のやり方スゲーから! 結婚して更にパワーアップしてる感じ! お金持ちに任せよう! もちろん俺もコツコツ働くけどね!」 「俺も頑張るよ…。 年末、サチの健診あるからそれ終わったら行く。」 「分かった! 待ってる…。」 そう答えて珊瑚の髪に触れる翔… 「…家帰る? 早くヤりたいって顔してる…(笑)」 「えー!そんな盛ってるかなぁー?」 軽口を叩きながら2人は手を繋いでアパートへ戻った。 「ぁ…っ!」 「ヤっバい…!…珊瑚…っ!」 「は…ぁっ! なぁ、もう…っ!」 「ん。いーよ。 俺ももう限界…」 2人で頂点を目指し、深く重なり合う…。 「ん…ーっ!」 「っ!!」 達した後、ゴムを始末して珊瑚に向き合う翔。 「な、に? 水欲しいんだけど…。」 「あ、うん。 これでいい?」 ベッドのすぐ隣にあったペットボトルを手渡す。 珊瑚が喉を潤すのを待つとまた受け取って元の場所に戻した。 「じゃあ…もう1回いい?」 「…ほんと、アラサーとは思えない性欲と体力だな…(苦笑)」 「若くて可愛い子と付き合ってるからね! めっちゃ頑張るよー!」 「ほどほどでいーって…。」 翌朝、足腰を庇いながら珊瑚の実家へ向かう。 家族で1泊過ごして明日の最終便で翔は帰国予定だ。 「誕生日とか以外はプレゼントダメって言うからお菓子にしたよ~。 あとバドミントン!みんなやるかな?」 「…やると思うよ。 でもそれ屋内競技じゃなかった?」 「えっ?! 外でも出来るよね? 広大な敷地だとボールは取りに行くの大変だからさー、これならいいかと思って!」 「ありがと…。」 家に着くとみんなが迎えてくれた。 アビーはバイトらしい。 「カケっ!こんにちは。サッカー!あそぼ!」 「カケ、サッカーやろ!」 「いーよ!ちょっと待って。 荷物だけ置いてくるから。 フィンまた背が伸びたね! アッシュは髪切った?カッコイイじゃん!」 「イケメンー!」 「カケ…、おみやげ、ある?」 「レニちゃん! うん。お菓子あるよ。 これみんなでわけてくれる? あとみなちゃんから化粧水…えっと何? メイクアップウォーター?」 「ありがと。日本の化粧水。頼んだやつ。」 翔の英語が全然上達しないので、最近はこどもたちの日本語力の方が上達してきている…。 祖父母は翔のおかげだと喜んでいるようだ…。 「カケ!…daddy…?」 「サッちゃんーっ! あー可愛いっ! 何?」 「こら、サチ…。」 「…カケ…っ!」 珊瑚に何かを怒られて翔の後ろに隠れてしまうサチ。 何事かと視線で珊瑚に聞くと… 「幼稚園行き始めたら自分にはパパとママがいないって気付いたらしくて…。 じいちゃんばあちゃんがサチの親だよって言っても納得してくれなくて…。」 「そっか…。 周りと比べたり、いろいろ分かってくる年齢なんだね。」 「カケ、サチ、パパ…なる?」 「えっ?!」 「サチまで日本語喋ってる…(苦笑) …カケはパパじゃないよ。 ごめん…。」 「いや…! むしろ光栄です! サッちゃんは俺なんかがパパでもいーの?」 「おいおい…っ!!」 確かに、珊瑚やアビーでは年齢的にも"兄"だが、翔とサチなら父親でもおかしくない年齢差だ。 サチはニコニコと翔の手を取り遊びに誘っている。もう片方の手にはお気に入りのぬいぐるみ。 「何て可愛いーんだっ! 天使~っ!」 「本気にすると困るから… まぁ、浮かれていられるのもあと数年だよ。 父親って娘に嫌われるようになるんだって。」 珊瑚の一言に本気で落ち込む翔… 「珊瑚は腰痛いでしょ?休んでて。 俺、外でみんなと遊んでくる。 サッちゃん、抱っこする?」 「だっこ!おそと!」 「パパは娘と遊んできますー。」 その夜、レニがみなに化粧水のお礼の電話(ビデオ通話)をきていると、光輝も顔を出して、その姿を見つけたサチは「daddyーっ!」と駆け寄って行った。 翔は首を傾げる。 「あれ?」 「ヤベー。お菓子とかオモチャくれてたまに見かける人がイコールパパになってない?(苦笑)」 「サッちゃん~!(苦笑)」 End

ともだちにシェアしよう!