32 / 44
遠距離恋愛編~再会~(2)
翌日、翔が仕事へ行く前に遅すぎるクリスマスプレゼントを買いに行くことにした。
前に約束していたカメラのオプションは翔がクリスマスに送っていたのだが、他にも珊瑚にプレゼントしたい物があるらしい…。
珊瑚は末の妹の看病でクリスマスプレゼントを買ったり送ったりする暇もなかったので、
ごめんと謝りながら改めて仕切り直すことになった。
2人が向かったのはショッピングモールで、翔が欲しがったのはお揃いの服だった。
絶対イヤだと恥ずかしがる珊瑚をなんとか説得して、ブランド物のデザインカットソーとシンプルな黒のパーカー、そしてパンツは色違いでカーキとネイビーにし、ブーツとシルバーアクセサリーまで揃えた。
そして珊瑚が欲しがっていた鞄専門店のリュックまで色違いで購入し、大満足の様子…。
「バカ…っ!高いもんばっか買いすぎ…。」
「えっ?! でも珊瑚めっちゃ似合ってるよ。
モデルみたいー!
あ、でもヌードはダメだよー?(笑)」
冗談を言う翔は久しぶりの再会、そしてデートに上機嫌だ。
プレゼントの金額的に躊躇する珊瑚を「じゃあ、すぐに着替えてデートしてくれたら金額の差はチャラってことにしよっ!」と諭した翔…。
ペアルックで手を繋いで歩く長身の2人は人目を惹いたが、気にせずコーヒーを飲んで休憩し、珊瑚が向かったのは時計店だった。
「あんま高いのは無理だけど…これとかどう?」
「あ、いーね。
使いやすそうー!」
「一応…俺のしてるのと似てるデザインだよ…?」
そう告げる珊瑚の左腕を覗く翔…
「これと同じのはないの?」
「これもう廃盤になってるはず…」
店員に確認すると、確かに珊瑚の時計はもう出回っていないらしく、先ほどのデザインがリニューアルして販売されている物らしい。
「これは珊瑚が自分で買ったの?」
「家出る時にじいちゃんがくれた。
写真で食えなくなったらこれを売ればいいって…。悔しいから使ってる。」
「そっか…。」
「ペアがいーの?
そしたらランク落とさないとだけど…」
「ううん、これにする!
いいの?けっこー高いよ?」
「いいよ。待たせた分、延滞料…入ってるし。」
「何それ、可愛いねー(笑)」
会計とチェック待ちをする2人…
「珊瑚のは過去から今、俺のは今から未来に続く時計だね。」
「俺の時計…まだ壊れてないよ?(笑)」
「そうだった(笑)まぁ、デザインの話ー。
これからは同じ時を刻めるねっ!」
「…いや、時差あるから…時間違くね?
その時計、ドイツ時間に合わせんの?」
「えっ?!」
チェックをしていた店員が慌てている。
「えー、どうしよう…!
そうしようかなぁ…!」
「あとで自分でやれよ。
あ、日本時間で大丈夫なんで。
…バカ…っ!」
ホッとした表情を見せる店員に時計を包んでもらっている間、2人はこっそりキスを交わした。
「珊瑚、時計ありがと。大事にするね。
ってか、この勢いで指輪も買っちゃいたいな。
結婚指輪。 …どう?」
「…まだ早い。
だいたいプロポーズしてないし、されてない。」
「ヤバい…!もうなんか…グダグダ…っ!(苦笑)」
「…ヤりすぎたんじゃね?
いつもよりバカだもん…(苦笑)」
下らない話を楽しみながら、どんなことにも2人で笑い合える幸せを噛み締めていた…。
End
ともだちにシェアしよう!