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遠距離恋愛編 ~彼らの休暇~ ※微R18
※短いお話です。
「スランプってやつー?」
「…そんな大それたもんじゃねーよ…っ!」
翔は事後の一服を味わいながら、恋人の珊瑚に聞いた。
珊瑚は「ベッドで吸うな」と煙草を奪い取ると自らの口元へ運んだ。
駆け出しのカメラマンである珊瑚がわりと有名な写真展で新人賞を受賞してから早数ヶ月…
"これだ"という作品が撮れないのだと彼は語った。
「…何を撮ってもしっくり来ないんだよな…。
アホみたいなミスも多いし…。
家も…チビたちがいろいろ問題起こすし…全部が上手く回らない感じ。
…翔にもそういう時期ってあった?」
珊瑚は灰皿に煙草を押し付けて火を消すと、年上の恋人にそんな質問を投げ掛けてベッドの淵に座った。
「あった、あった!!
俺が珊瑚と同じハタチくらいの時って言ったら…勝手に大学辞めて、家出して、バンド始めた頃だから…相当必死だったよ(苦笑)」
「…改めて聞くと、翔ってヤバイね(笑)
行動派って言ったら聞こえはいいけど、無鉄砲過ぎる…(苦笑)」
「だよねー(笑)
まぁ、若かったし!
いろいろやり始めたけど、最初は上手くいくはずもなく、金もなく…
ダチや先輩と飲んだくれたり、愚痴ったり、あー…あとは…」
「適当な女と遊んでた?」
「…んー、うん。まぁ、そんな感じ?(苦笑)
あ、怒った? 今は違うよ?」
「ふぅーん…別に…?」
ワントーン下がった恋人の声と少し距離のある態度に翔は苦笑する。
実はヤキモチ焼きの珊瑚が可愛くて堪らない。
が、それを指摘すると全否定されて機嫌も悪くなってしまうので言わないが…
「ちょっ!珊瑚くーん…っ!
えっと、まぁ…""出来ない!こんなんやってられるか!""ってなって荒れ果ててもさー、結局自分と向き合わないと前に進めないのは変わらないから…最終的にはやるしかない!って気合い入れてやるんだけどね。
そこまでモチベーションとかコンディション整うまではある程度回り道とか、休憩も必要な時期なんだよ、後から分かるよって話…。」
「あ、そう…。」
「(苦笑)
珊瑚は真面目だからな…。
ほら、もうちょっと甘えてっ!
俺が側にいるよ!」
「…クサ…っ!ダサ…っ!」
「ひどっ!(笑)
励ましてるのにー!」
「…だって、いつもいないじゃん…!」
その一言の重みに翔は言葉を詰まらせた。
「…いるよ。
離れてても…ずっと、側にいる…っ!」
気持ちは決して離れ離れではないのだと、恋人を目一杯抱き締めて告げた。
珊瑚は大人しく翔に身を任せると、ゆっくりと彼顔をあげて唇を合わせた。
「…なぁ…フェラしていい?
なんか激しいのしたい気分…!」
「もちろんっ!むしろよろしくお願いしますっ!」
彼らの休暇は決して長くはないが、一緒に過ごす時間以上にたくさん心を通わせようとお互い素直に向き合えるようになってきた。
繋いだ手は温かく、乾いた心にも元気を与える。
きっとまた歩き出せる…!
またひとつ強くなろう…!
珊瑚も翔もそう思えるのだった。
End
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