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遠距離恋愛編~終止符~ (2)

(こちらのページは凪と紅葉の話がメインです。) 翔の脱退を聞いたその夜、凪は紅葉と付き合ってから初めてくらいに酔っ払ってタクシーで帰宅した。 深夜に泥酔状態の凪を門の前で迎えた紅葉は、タクシーの運転手に何度も頭を下げて料金を払い、凪を半ば引き摺りながらなんとな家の中に入った。 「凪くん…っ! 重、い…っ!」 「んー… ただいまぁー、紅葉ぃー…っ!」 「しっかり…っ!」 平九郎も引っ張ってくれて、ソファー前のラグへ連れて来れたが、体格差と体重差的にこれ以上の移動は難しそうだ。 「凪くん…大丈夫? 気持ち悪くない? お水いる?」 体調を確認して、心配しながら水やビニール袋などを用意すると凪の髪を撫でる紅葉…。 「凪くんがこんなになるまでお酒飲むなんて…なんかあったのかな…? でも…帰ってきてくれて良かった。 心配だし…毛布持ってきてここで寝よ。 床暖入れたら大丈夫だよね。 平ちゃん手伝ってくれてありがとう。 今日は3人で寝ようね。」 何も詳細は分からないが、きっと何かがあったのだと悟った紅葉。 改めてどんな時でも凪と共にいることを決意したのだった。 それから… 凪は翔から引き継ぎを受けながら、LiT Jのメンバーとの交流も意識してもつようにした。 Linksでは最年長の凪もLiT Jでは一番年下となる。 技術的にもベテランのLiT Jの演奏にはまだまだ自分に足りない部分を感じていて、翔に練習を見てもらったり、自主練習も増やしたし、パワーとスタミナをつけるために筋トレも増やした。 背負う物が増えるというプレッシャーに打ち勝つだけの物を手に入れたくて、とにかく必死だった。 「ハハ…っ! もがき過ぎだろ…。 カッコ悪…!」 防音部屋に籠って練習に明け暮れる日々。 そんな独り言を呟く凪に紅葉は寄り添い続けた。 「一生懸命な凪くんはカッコいいよ。」 「じゃあキスして? 俺のこと好きって言って?」 「喜んでっ!」 時に見せる凪のそんなワガママを紅葉は可愛いと言い、また、ストレスやプレッシャーから強引に抱かれることがあっても、凪を受け入れていた。 翔の脱退(卒業)が公になると、凪の忙しさは増した。 正直、メンバーはもちろん、何よりも紅葉の支えがなければこなせなかったと思う。 いつも笑顔で凪を迎えてくれる紅葉の存在は本当になくてはならないものだと感じていた。 もちろん平九郎も。 「どこも連れてってやれなくてごめんな。」 忙しくてそう呟く凪に紅葉は首を振った。 「大丈夫だよ。寂しくても、離れてても、僕はいつも凪くんと一緒にいるよ。」 その一言が凪を強くした。 紅葉自身も翔の脱退理由に自分の双子の片割れが絡んでいることはもちろん分かっている。 でも、敢えてそのことを翔にも凪にも言わず、責任を感じているのだ。 珊瑚には何も言うなと翔からも凪からも口止めされている。 色々と悩んだ紅葉だったが、自分に出来ることを…と思い、翔のために日常生活で使うドイツ語のカードを作ったり、弟たちの学校のことを教えたり、サチの病気のケアについても改めてきちんと説明した。 凪のケアももちろん積極的に関わった。 スケジュールを調整して、紅葉個人の仕事より、凪のフォローを優先し、凪が担当しているLinksの雑務も引き受けた。 プライベートでもLiT Jの曲も覚えて一緒に練習したり、家事も出来るだけ紅葉がやるようにして凪の負担を減らせるように努力した。 「紅葉、ありがとう。 こんな頑張らなくてもいーのに…(苦笑)」 「凪くんが頑張ってるから僕も頑張りたいって思っただけだよ?」 「…健気なやつ。 俺って相当幸せ者だな(笑)」 「ほんと?良かった。 僕も幸せだよ。 …翔くんと珊瑚も幸せに暮らせるといいね。」 「そうだな…。」

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