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新生活 (1) ※R18

「…ん…。 な、に…?起きて早々…! …ヤりたいの?」 「ダメ? だって俺たち新婚だよ?」 「昨日もしたし…。んっ。 …まぁ…いーけど? なんか…もう治まりそうにないし…?」 寝起きから翔の悪戯に遇い、身体に熱が溜まるのを感じた珊瑚は覆い被さってきた彼の首に腕を回し、舌ピアスを覗かせてニヤリと笑うとキスに応えた。 「んー! 珊瑚ーっ! …好き。すっごい好き。 愛してるよっ!」 「分かったから…!(笑) なぁ…早く…っ。 時間…、遅れる…っ!」 狭いベッドに2人でくっついて寝ると暑いからと下着一枚だった。あっという間に裸になり、脚を絡めながら抱き合う… 「向こう(珊瑚の実家)に昼過ぎって言ってあるから大丈夫だよ。 ん、まだ中軟らかいね。 …すぐ挿れたら怒る?」 翔はローションを手に取り、珊瑚の狭い中を拡げながら首筋にキスをした。 そのままキレイな肩甲骨やしなやかな背中を愛撫していく…。 「いーから早くって…! ア…ッ!…っ!ンンっ!」 「ヤッ…バイ。 気持ちイ…っ! ごめん、俺今日も早いと思う(苦笑)」 「はぁッ、アッっ…ぁ…ッ!! ふ…ッ!」 「コレ好き? 中すごい…っ! 吸い付いてくる…ッ!」 「バカ…っ! 喋ってばっかいないで…ちゃんと…! あ…っ!…っ!!」 ギシッ、ギシ…ッと音が鳴る安物のベッドに"いい加減壊れるかもなぁー"と苦笑しながら珊瑚のイイトコロを狙っていく…。 「フッ、く…っ!」 声と抑えて、息を詰めるのはいつもの珊瑚のクセで…翔はラストスパートにかかった。 「あのな、翔は大体いつもグダグダなんだよ! 告白にしても、プロポーズにしても、パートナー誓約だって…お前少しは調べてから来いって。 フツーはこの日にしようって決めて動くもんなのに…。申請の期日と書類都合で結婚記念日が決まるってどうなの?」 さっきまで愛し合っていたのに、朝(もうすぐ昼だけど)から珊瑚の説教を聞く翔…。 言い訳をしたいところだが、その通りだし… 遠距離が長かった分、毎日一緒にいられる幸せを噛み締めている翔。 たとえ説教でも直接それを聞ける喜びの方が勝っていて、それは新生活が始まって数日ではなく、もう2ヶ月程になるが、ずっとなのだ。 ただただ珊瑚への愛おしさが増すばかり。 もう絶対遠距離なんて無理だと確信していた。 「ごめんね…? でもなんかそれも俺たちらしくて良くない? とりあえず受理してもらえたし…。 改めてお祝いしよ? 珊瑚は式とかって…」 「却下。 手続きと法務関係で人雇ったり…けっこう出費が嵩んだから金がない。」 「…俺が貯金から出すよ? まだユーロにしてないけど…(苦笑) とりあえず…レストランで食事くらいしよ?」 海外移住に続き、同性婚も事後報告した翔の実家の家族にはビデオ通話で珊瑚を紹介した。 若くて美しい青年が息子の相手だと知った家族は反対するどころか珊瑚に対して酷く心配した様子で… "うちの息子に騙されていないか?!" から始まり… 珊瑚が"翔は人を騙すような人間じゃないことは理解して一緒に暮らしています"と擁護してくれると、 "なんて出来た子なんだ! 君はまだ若いし、素晴らしい才能があるのに、なんでうちの息子なんかと…!" と、 なかなかショッキングな台詞を聞かされた翔。 ご祝儀代わりだと、翔が11年前に持ち出したヴァイオリン代200万円+αをポンっと送金してくれたのだ。 お金の心配はないが、今現在2人の生活は珊瑚が管理していて、非常に質素なのだ。 「無職のクセに? まぁ、食事くらいはいーよ? 翔が自分でレストランの予約出来たらな。」 ハードルの高い課題を出されて翔は苦笑した。 「頑張るね(苦笑) とにかく俺は…こうやって珊瑚と一緒にいられて幸せだよ。」 にこやかに笑った翔は、アパートの向かいで買った朝食のパンとコーヒーを食べ歩きながら珊瑚と並んで駅まで歩いていた。 これから2人で珊瑚の実家へ行くのだ。 大体週末は向こうでわいわいと過ごし、平日珊瑚は仕事で、近場だが各地を飛び回っていることが多い。 翔はアパートで家事をしたり、2人で撮ったYouTube用の動画の編集などをしている。 時々翔は一人で珊瑚の実家へ行っては祖父母を手伝っている。翔は凪のようには家事をこなせないが、最近は祖母が持病の高血圧からあまり体調が優れず、なるべく負担をかけないように手伝っているのだ。 弟妹たちも懐いてくれているし、翔も彼等と過ごすのは楽しいと感じている。 絶対何かがあると分かっていても、わざとそこを通って落とし穴にハマって彼等を爆笑させたり、本当に何気ないことが楽しいのだ。 特にサチは翔から離れたがらず、いつも帰るとなるといつも泣いてしまうので、心苦しいくらいだ。 実はサチとアッシュを2人の養子に…と祖父母から話が来ているのだが、それはまだ珊瑚しか知らない…。 同性カップルと公的に認められても、そこはまたハードルが高いのだ。

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