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圭吾「有罪」→計都「フラミンゴミルクを君に」

 実はケイさんを見かけたことがある。  大雨の日、行くところがなくて座り込んでいたオレの前を、テンチョと二人で通り過ぎたのを、覚えてる。 「ケイ、もっとこっちに」  そう言ったテンチョは、自分の肩がぐっしょり濡れてるのに、めちゃくちゃ優しい顔でケイさんの方に傘をもっと傾けていた。  うらやましいなぁって  いいなぁって  きっとあの人の隣にいたら、とびきり優しくしてもらえるんだろうなぁって……ぼんやりと二人の背中を見ていた。  溶けてしまいそうなくらい嬉しそうなテンチョと、隣りを見てるようで見ていないケイさんと……  ちょっと不安になるような、そんな感じだった。  テンチョにまた会えたのはホント偶然。  ちょっとコレはまずいなぁってくらい、ヤバい人に捕まって……痛いのも苦しいのもいいけども、その人は気が向いた時しか構ってくれないから。  誰もこちらを見てくれないのは、寂しいから……  テンチョは以前見た時とは全然違う、昏い目をしてて。  あんなに幸せそうな顔をしてたのに、オレを見て怯える顔は……何があったんだろう?  つっけんどんに人を突き放すくせに、放しきれないで世話を焼くくせに、オレを見て泣きそうになる。  どうしてかな?テンチョには泣いて欲しくないから、  あの溶けていきそうなくらい幸せそうな顔で笑ってて欲しいから、  オレが、ケイさんの代わりになったら、またテンチョはあんな風に笑ってくれるのかな? 「何を考えてんだ」  なんて、膨れっ面で言うけれど、オレが考えていることなんて案外単純で、  ただもう一度、テンチョに元気になって欲しいだけだよ…… END.

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