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お見合いミッション発動 2
一家の期待を背負った優秀な二人の兄のうち、長男の学(まなぶ)アニキは東大卒業後、親父の片腕として大阪支社に赴任し、次男の栄治(えいじ)アニキは京大在学中。兄弟揃って遠く関西の地でマンション暮らしをしており、その学ニイはこの前二十四になったところだけれど、三兄弟の中では結婚に一番近い人だ。
「いや、見合いをするのはおまえだ。先方からそう指定された」
「豊城商事の社長さんからお話があったんですってよ」
豊城商事は綾辻物産と取引のある大得意先で、そこの社長直々に見合い話を持ちかけてきたらしい。
「イギリスに留学していた息子さんが日本に帰国したのよ。こっちの生活にも慣れたから、ぜひお嬢さんと、ですって」
「イギリスねぇ、へえー」
次の瞬間、俺が吹き出したシリアルは華麗に宙を舞い、イタリア製高級テーブルの上を華やかに彩った。
「まあ、美佐緒さんったら御行儀が悪いこと」
「それどころじゃねーだろ! なんで男と見合いしなきゃなんねーんだよっ? だいたいお嬢さんって誰のことだよ、ああもう!」
拳を振り上げて力説する息子にはおかまいなく、御袋は至ってマイペースで、眉をひそめながら「そういうお下品な言葉使いをしてはダメって、いつも注意しているでしょ」とたしなめた。
「だったら『ワタクシ、お嬢さんじゃなくってよ』とか何とか言えばいいのかよ? この諸悪の根源めがっ」
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