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お見合いミッション発動 3

 そう、俺の十八年の人生に於いて降りかかった受難はすべて、この御袋のせいだった。  綾辻家の三男坊──ところが、幸か不幸かって、絶対不幸の部類に当てはまると思うけど、色白で女のような顔立ちに生まれてしまった俺、自慢する気はないが、女だったら結構美人の方だろう。  そしてそれをいいことに「今度こそ女の子が欲しかった」という御袋のワガママから、美佐緒なんつー、聞いただけでは男か女かわからない名前を拝領する羽目になった。  すると姑、すなわち親父の母親で俺にとっては祖母にあたる綾辻品子(しなこ)というババア、いや、お婆様がとんでもないクワセモノで、御袋に余計な入れ知恵をした。 「既に世継ぎは授かっている。そんなに美佐緒を女児として扱いたいのならばこの際、おなごとしてのたしなみや、礼儀作法をみっちりと仕込み、綾辻の家の者として恥じないよう、教育いたしましょう」  要は会社の将来は兄貴たちに任せればよく、俺を自分たちの後継者にしようという魂胆がみえみえの計画だった。  世継ぎだ、おなごだなんて時代錯誤なことを言うババアと、お嬢様育ちで世間知らずの御袋がタッグを組んでしまったから始末が悪い上に、いくら自分の母親に頭が上がらないとはいえ、なんと親父までもがその意見に賛成しやがった。息子も三人目ともなればもうどうでもいいらしく、好きなようにしろってとこか。  こうして俺はババアの計画遂行により、ガキの頃からお茶にお花にお箏の稽古、まるで花嫁修業のような毎日を送っていた。

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