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お見合いミッション発動 5

 見合いをするのはアンタかよ!   御袋のはしゃぎように、どうしたらそこまで脳天気になれるのかと感心するばかりの俺は二の句がつげずにいた。  それでも何とか気を取り直し、「あのさあ、嫌われるも何も、男同士じゃ見合いが成り立たないし、たとえ女のフリして会ったって正体がバレたらおしまい。そうなったら何て言い訳するんだよ?」と反論すると、親父はさらに気難しい顔をして厳かに言い渡した。 「絶対に気づかれないようにするんだ」  呆気に取られながら、俺は芝居がかった素振りで話を続ける親父を見守った。 「いいか、おまえと聖爾くんが結婚すれば豊城商事との関係は半永久的に安泰だが、失敗してみろ。怒りを買って取引は中止、会社は倒産。私たち一家は路頭に迷う羽目になる」  綾辻物産の経営状態はあまりよろしくはなく、豊城商事に見捨てられたら大変なことになるらしい。 「ふん、要は政略結婚ってやつかよ」 「つまり、この見合いには我が綾辻物産の命運がかかっている。四の五の言っている暇はないのだ」 「そんな無茶な! 男が男と結婚だなんて、まかり通ってたまるか!」 「とりあえずは見合いを乗り切って、いざ結婚となったら女になればいい」  会社を経営する者の風格を備えているとはいえ、どちらかといえば穏やかな風貌の親父が腕組みをしてふんぞり返り、こちらを睨んでいる。その様子がこんなにも恐ろしいと思ったのは生まれて初めてだった。

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