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お見合いミッション発動 6

「男と見破られる前に手術でも何でもやって女になるんだ。戸籍も役所に手をまわして長女として変更する。そのための費用は惜しまないぞ、倒産してしまうよりはマシだからな」 「ちょっと待った、いくら何でも無茶苦茶すぎるぜ。俺に男を捨てろと言うのか? それが可愛い息子に対する親のセリフかよ! 第一、役所がそんな謀略に手を貸すもんか!」  あまりにもひどい発言に、ブチ切れた俺が食ってかかると、親父は諭すような口ぶりでさらなる脅しをかけた。 「美佐緒よ、よく考えてみなさい。我々一家六人ばかりではない、もしも倒産したら、この綾辻物産で働く全従業員の生活はどうなるのだ? そのための多少の犠牲はやむを得まい。そうだろう?」 「だから俺に犠牲になれ、かよ。人でなし!」 「見合いに応じないなどと言ってみろ。この先おまえは未来永劫、家族や従業員たちに恨まれ、謗られ、その上貧困生活に喘ぐことになる。学費滞納でもちろん大学も退学、将来の保証は何もない。それでもいいのか?」  なんつー悲観的な展開の未来予告、この調子では到底取りつく島はなさそうだ。  これから自分を待ち受ける運命に対して暗澹たる思いに囚われる俺、日曜日がくるのが恐かった。

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