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ああ、玉華殿 11
そうなると政略結婚が目的とはいえなくなるが、最大の問題点が残っている。豊城家の皆さんには申し訳ないけれど、今ここでそいつを告げなくてはなるまい。
「あの、その……お気持ちは有難いんですけど、私、じゃなくて、俺、男……なんです。だから初恋の人って言われても……」
だが次の瞬間、俺を待ち受けていたのはとんでもないセリフだった。
「ええ、知っていましたよ」
「知っていたんですか、そうですか……って、えっ、ええーっ!」
驚きのあまりひっくり返りそうになりながら、俺は聖爾さんの顔を凝視した。
「泣き虫お姫様の正体はプリティボーイだったなんて、なかなかドラマチックでしたね」
ドラマチックで済むことなのか? 相手が男だとわかっていて見合いをしたのか?
松の間における彼の怪しい態度の理由はこれで判明したが、にこやかな表情で話を続けるその様子に、いったいこいつは何を考えているのかと訝っていると「僕にとって性別は問題ではありません。君が君であることが重要なんですよ」と彼は力説した。
「よくわかんないけど、それってばつまり、男が相手でもオッケーということ?」
「そう、僕はゲイなんです」
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