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ああ、玉華殿 14
「で、でも、豊城さんは俺を女だと思っているから、結婚させようとしているんでしょ? 男だってバレたらどうするつもり?」
「大丈夫。打つ手はいくらでもありますから、君は安心して、僕のこの胸に飛び込んでくればいいんです」
そう言って聖爾さんはまたしても両腕を広げてみせたが、金持ちの上に、これだけイイ男に熱烈にプロポーズされて嬉しくない女はいないだろうけれど、あいにく俺は男だし、ゲイでもないから、相手の執着に引いてしまう一方だった。
「さあ、遠慮なく……」
「飛び込めって、そんな、誰も結婚するなんて言ってないだろ!」
憤る俺は相手が年上ということも忘れて、ついタメ口になったが、彼はしれっとした顔で言ってのけた。
「どうして? 僕たちはお似合いのカップルだと思うけど」
「勝手に決めるな、俺はゲイでもホモでもオカマでもない!」
それを聞いた聖爾さんはノンノン、と手を横に振ったが、それってフランス語だろ。アンタ、イギリス帰りじゃないのか。
「ゲイとホモセクシュアルは男性同士の同性愛者という意味に使われているし、間違いではないけど、広義ではゲイはイコール同性愛者全般、レズビアンもゲイに含まれるんだ。その分類からいくと、僕はホモなんです、と紹介した方が正確だったね、失礼」
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