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入部決定! 三曲同好会 3
心臓をわしづかみにされたようで、ギクリとした俺は慌てて後ろを振り向いた。そこに立っていたのは豊城聖爾その人だった。
「……な、なんでここにいる?」
驚きのあまり、しばらく何も言えなかった俺はそれだけの言葉をやっと口にした。
「なんで、って、そりゃあ僕も神理大の学生だし、学食を利用したとしてもおかしくはないでしょう?」
「学生だなんて、そんなバカな……イギリスの大学を卒業したんじゃないのか?」
「もちろん、ちゃんと卒業したよ。そうでなけりゃ、ここの試験は受けられないしね」
自慢げに胸を反らすこの軟派男、今日はさすがに大学生らしくジーンズ姿だが、Tシャツの上には相変わらずアクセサリーをジャラジャラ身につけている。
「だから院生、正確には工学部の大学院の学生という身分さ。おわかりかな?」
「それってまさか……」
神理大大学院への進学は彼が俺に接近する手段のひとつ、見合い後も自分との縁が切れないように手を打っていたわけだ。考えがあると言っていたのはこういうことだった。
「そう、さすがに察しがいいね。君のことはこのキャンパスで何度も見かけていたよ。でも、十五年ぶりの再会だし、せっかくだから二人が出会った想い出の場所で、素敵な演出をした方がいいでしょう? そう思って玉華殿で会うまでは、君の前には顔を出さなかったんだ。それに、ああやっておけば両家の親公認の関係になれるしね。どう? 我ながらいい考えだと思うけど」
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