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入部決定! 三曲同好会 4
俺はただただ唖然としていた。あの茶番劇は素敵な演出だったのか。同じ大学にいるとわかれば警戒される。院生となった事実を伏せたまま見合いに持ち込んだ、彼のその用意周到さに舌を巻き、呆れるしかなかった。
「……あのさあ、大学卒業したんだったら、院生なんかちんたらやってないで、さっさと働いたらどうなんだよ、この親不孝者!」
そんな批判もどこ吹く風、「もっと学問を究めたかったから」などとうそぶく相手に、これ以上は何を言っても無駄だと、俺は彼の存在を無視して昼メシの続きを食べ始めた。
すると、俺の右側に座っていた人が食事を終えて席を立ったため、聖爾さん、いや、聖爾のヤツはちゃっかりとそこに座ろうとした。
「あー、ここは予約席。座っちゃダメ!」
「予約って、それは僕という婚約者のためにでしょう?」
「だから婚約なんかしてないっつーの! 勝手に話を進めるんじゃない!」
くだらない押し問答をしているその時、俺たちのやりとりを見守っていたらしい土方さんがなんと、こちらに声をかけてきた。
「豊城先輩、どうかしたのですか?」
な、なんでこの人がこいつを知ってるんだ? 呆気に取られた俺が二人の顔を交互に見ていると、聖爾は「別になんでもないよ」と決まり悪げに答えた。
そこにタイミングよく現れたのは赤木・青柳コンビで、食堂内に立ちすくむ二人の色男と、その傍に座る女、もとい、俺という異様な光景に気づいて近寄ってきた。
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