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入部決定! 三曲同好会 5

「あっれー、ミサオちゃん、何やってんの?」  青柳がそう声を掛けたのに続いて、聖爾の顔を見た赤木が「あっ、この人、尺八同好会の……」と言いかけたのを聞いた俺はますます驚いた。赤木を勧誘した院生というのは彼だったのだ。 「ああ、同好会の勧誘でしたか。熱心なのは結構ですけど、嫌がる人を無理に誘うのはどうかと思いますが。あれは男性に愛好家の多い楽器でもありますし」  土方さんはその件についても承知しているらしい。彼の言葉に聖爾は苛立った様子で、 「この人は箏と三絃の経験者だから、尺八ではなく、そっちで合奏してもらえればいいんだ。だいたい、僕の勧誘を批判するぐらいなら君が入会すればいいだろう。このままじゃ、先生の面目が丸つぶれになるぞ」と答えた。 「しかし、自分は応援団の活動が……」  いったいこの二人、どういう関係? その謎はすぐに解けた。聖爾が所属する機械工学第Ⅱ研究室の学生の一人が土方さんだった。  神理大では三年になると全員がいずれかの研究室に入室する仕組みになっていて、彼らの研究室の担当である緑川大吾教授の趣味がなんと尺八。院生として入ってきた聖爾も尺八が吹けると知った教授は大喜びで、この大学にはそういうサークルがないから、自分たちで同好会を作ろうと大張り切りで持ちかけたらしいが、思うように会員が集まらない。  そりゃそうだ。大抵のヤツは赤木みたいな考えだし、研究室のメンバーの中で頑張って勧誘しているのは聖爾だけで、それがさっきのセリフにつながったわけだ。

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