37 / 120
入部決定! 三曲同好会 7
応援団の下っぱの任務のひとつとして、試合の最中には何十キロとある団旗を抱えていなければならず、それが出来るかどうかが団員となる資格だと聞いた時から、彼とは生きる世界が違うと諦めていた。
なーんて、別に応援団に入部するつもりでいたわけじゃないけれど、俺には手の届かない人って感じがしていた。
だから、聖爾のペースにはめられて悔しいと思う一方で、学年も学科も違い、何の接点もなかった土方さんと一緒にいられる機会を得た俺は嬉しくてたまらなかった。
さて、さっそくその日のうちに尺八同好会のメンバーの初顔合わせが行われた。場所は学生会館の二階にある施設のうちの和室で、建物の管理をしている学生課に申請して使用許可を取れば、大学関係者なら誰でも使うことが出来る。
四限の授業を終えた俺たちは三人揃って学生会館へと向かい、二階の廊下を歩いて会議室の前を通りかかったところで、向こうの和室の入り口に立った聖爾が女子学生二人と楽しそうにしゃべっているのを発見した。
「あれ、豊城さんじゃねえか。あんなところで何やってんだ?」
「きっと彼のファンの子だよ。あの人、ボクらから見てもカッコイイじゃない、女の子たちがほっとくわけないもの。二人とも可愛い子だよ、いいなぁ」
ともだちにシェアしよう!