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入部決定! 三曲同好会 13

「おおっ、素晴らしい!」  真っ先に手を叩いてくれたのは緑川教授で、それに続いて残りのメンバーもやんややんやの拍手喝采。やれやれと息をつく暇もなく、次は三絃の演奏を所望され、俺が選んだのは地唄の名曲『黒髪』だった。器楽だけの六段とは違い、こちらは唄を歌いながら演奏しなければならない。日頃から歌っていなかったのでさすがに声が上手く出ず、散々な結果に終わったが、それでも好評だったようだ。  弾き終えてみんなの賞賛を浴びる中、聖爾はニンマリと笑って「僕たちの息はぴったり合っていたね」と得意げに話しかけた。 「だけど黒髪は失恋の歌で縁起が悪いから、今度はラブラブな『末の契り』を合奏しようよ。練習しておいてね」  何と反論してやろうかと考えているところに赤木が目を輝かせながら寄ってきた。 「すげェじゃん! オレ感激しちゃったよ。邦楽ってこんなに面白い音楽だったんだ。尺八をジジくさいだなんて言って悪かったよ」  それから彼は三絃がやりたいと申し出てきた。三曲同好会になったのだからどの楽器を選んでもよく、他にも三絃希望者がいて、彼らの指導は俺が任されることになった。 「ミサオちゃん直々の御指導なんて嬉しいなあ。オレ、頑張っちゃうからね」  調子よくしゃべる赤木をドツキながら、俺は三味のかまえから撥の持ち方を説明。尺八組はもちろん聖爾と教授が教えるわけだが、こいつは音が出るようになるまでが大変で、コツをつかむのに結構手間がかかる。

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