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入部決定! 三曲同好会 14

「尺八は一尺八寸の長さであるところから、尺八と呼ばれていて……」  基本中の基本から説明しているのが、こちらまで聞こえてくる。青柳に黄山、Ⅱ研の三年生・黒岩さん、そして土方さんの四人は初めて手にする尺八を相手に悪戦苦闘しており、そうこうしているうちに和室の使用制限時間は瞬く間に過ぎた。 「それでは今日はここまでにしましょうか」  教授がそう促し、みんなで片付けをしていると、なんと土方さんが俺の前に進み出た。 「自分はこれまで邦楽を理解していませんでした。食わず嫌いだったと反省しています」  心の準備もないまま、憧れの人から突然話しかけられて俺の心臓は爆発寸前、ひたすら相手を見つめるばかりで何の相槌も打てない。 「今日、あなた方の演奏を聴いて感動しました。これからは練習に打ち込み、いつか合奏していただけるようになるまで精進します。そのときはよろしくお願いいたします」  丁寧に頭を下げる土方さんの姿に、これは夢ではないのかと自分の腕をつねってみる。  夢じゃない、現実だ。俺は喜びのあまり小踊りだしたくなるのを堪えて「こ、こちらこそ」と小さな声で返事をした。  微笑む土方さん、いつも厳しい表情をしているであろう彼の、こんなにも素敵な笑顔が見られるなんて、今の俺って最高に幸せ者! 三曲万歳! 邦楽万歳!

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