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最悪ライバル プルプル女 3
どんなにダサいと思われるような行為をしていても許される上に、女に騒がれるのはそれだけイイ男である証。栄誉であり喜ばしいと感じても、決して妬いたりする筋合いのものじゃない。なのに、嫉妬心を抱くということはつまり……恋?
そこらの女の子よりも美人であるがために、却って敬遠されてノーマルな恋愛をしたことなどないし、だからといって、迫りくるホモたちと関係するつもりもなかった俺はそっちの方面に関して、すっかり出遅れていた。
そんな俺がようやく抱いたこの気持ち、それは憧れというより恋、憧れのアニキではなく恋愛の対象。俺は男である土方さんに恋したのだと自覚すると焦り、うろたえて全身が震えてきた。まさか、まさか、この俺自身が男を好きになってしまうとはっ!
「俺はホモでもゲイでもオカマでもない!」
見合いの時、聖爾に対してブチかましたセリフがこれ。それまでにも赤木たちのアイドル発言をさんざんバカにしていた俺だが、とやかく言える立場ではなくなってしまって、いったいこの先どうすりゃいいんだ? やっぱりホモ道まっしぐら?
「ミサオちゃん、さっきから何だか変だぜ、具合でも悪いのか?」
心配そうに覗き込む赤木に「大丈夫、何でもないから」と弁明すると、俺は足早に学生協の脇の階段へと向かった。土方さんの雄姿をもっと見ていたい気もするけど、彼に恋したなんてわかってしまった以上、恥ずかしくて会わせる顔がない。今日の練習では会えないってこと、却って助かった気がする。
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