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最悪ライバル プルプル女 4
二階の廊下に差し掛かると、和室からなぜか箏の音が聞こえてきた。
実際には男性の奏者もたくさんいるのだが、しとやかな女性というイメージの強い箏をやりたいという男はさすがにおらず、同好会の中でそれを操るのは俺だけだったはずなのに、いったい誰が鳴らしているのだろう?
不思議に思いながら襖を開けると、薄暗いこの和室に、華やかに咲いた一輪の花が箏の前に座っていた。
昨日のメンバーのうち白井・黒岩の両人、俺たちより一足先に来ていた青柳、緑川教授の四人がめいめいに楽器を用意しているのが見え、彼らの脇に女が一人。
見覚えのないその女は派手なデザインのピンクのチュニックを着て、黒の七分丈のレギンスを履いていた。明るく染めた髪に縦巻きウェーブをかけ、大きな目はマスカラばりばりの睫毛に縁取られ、手足の爪にはラメ入りのマニキュアを施していて、いかにも流行りもの大好きという感じの女子大生だ。
そんな女が箏の前にいるのはどう見ても不釣合いだけれど、本人は俺たちには目もくれずに調絃を続けている。
「誰だ? けっこう美人じゃん」
赤木がそう訊いてきたが、俺にだって謎の女の正体などわかるわけがない。ここにいるということは同好会への入会者なのか。
そこへ青柳が近寄ってきて「三年の桃園恭子さんだよ」と囁き、なぜか目配せをしてひそひそ話を続けた。
「前に話したじゃない。工学部のアイドルでミサオちゃんのライバル、ミス・キャンパス二連覇の覇者だよ。でも性格は悪いみたい」
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