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最悪ライバル プルプル女 6

 そこへ聖爾が箏を持って現れると、プルプル女は態度を一変した。 「おっそーい、どこへ行ってたの?」  鼻にかかったような声を出して、甘える素振りをする彼女に「ちょっと駐車場までね」と答えた聖爾は呆気に取られている俺の方を向いて話かけてきた。 「美佐緒さん、こっちのやつを使ってもらうから、ちょっと待ってて」  俺が使うはずだった箏をプルプル女が使っているため、もう一面を急いで運んできたらしい。うっすらと汗をかきながら、柱箱やら譜面台を甲斐甲斐しく並べる聖爾の様子を見ていた彼女は「やっぱりそうなのね」と不満げに、嫌味ったらしく言った。 「そんなに頑張って用意するなんて、御熱心だこと。この子を入会させたくて、尺八同好会を無理矢理三曲にしたんでしょ?」  こいつはどうやら聖爾に気があるようだ。俺を憎々しげに見る女に対して「いや、無理矢理だなんて、別にそういうつもりは……箏や三絃の経験が長いって知ってるし、合奏してもらえれば尺八だけで活動するよりも楽しいかなと思ったからだよ」と、聖爾はあくまでも穏やかに接し続けた。 「前から知り合いみたいな言い方だけど」 「ああ。僕たちは親同士も認めた許婚、婚約者だからね」  彼女の攻撃ならぬ『口撃』を迎え撃つソレはまさに言葉の爆弾。炸裂したその瞬間、俺の目の前は真っ暗になっていた。 「……ミ、ミサオちゃん、マジかよ?」 「そんなぁ、まさか……」  口が強張ってしまい、予想通りの反応を見せる赤木と青柳にもまともな返事が出来ない。

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