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最悪ライバル プルプル女 7

「うっ、嘘だって。あの人イギリス帰りだからさ、ほら、ジョーク、ジョーク。冗談に決まってるじゃねえか、本気にするなよ」  そう誤魔化したつもりが聞き取れる言葉になっておらず、二人の表情は引きつったまま。  俺のセリフを気にもとめずに緑川教授は「ほう、お二人は婚約していたのかね」と感心し、白井&黒岩も互いに顔を見合わせて「やっぱりそうか」と言ったきりニヤニヤ笑っているばかり。どうしてそういう反応なんだ?  そして一人気を吐く桃園恭子は阿修羅のごとき形相で「婚約者ですって? 嘘よ、そんなの信じないわ!」と聖爾に食ってかかった。 「この前、両家で顔合わせしたんだ。ほら、そのときの写真だよ」  ヤツがポケットから取り出して掲げた写真には玉華殿での俺の振袖姿の他に、豊城家と綾辻家の六名が正装して勢揃いし、澄まして写っている。どこでそんなもん手に入れたんだ、って、ケータイにカメラのついているご時世にそいつは愚問、手回しのいいこの男の辞書に不可能の文字はない。 「うわっ、ミサオちゃんだ。赤い振袖着てる」 「こっちはたしかに豊城さんだよね」  俺は慌てて「やっ、やめろっ! そんなもん見せびらかすな! 俺たちが婚約しているだなんて、ンなこと、勝手に言いふらすんじゃねえっ!」と吠えた。

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