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御宅訪問 お邪魔しま~す 2
車庫の空いているスペースに車を入れると「さて、御家族に御挨拶しなくては……」と呟きながら降りようとするヤツを俺は慌てて引き止めた。
御袋と祖母は茶道の家元の稽古を受けるために今朝早く京都へ出発し、親父は仕事が山積みとかで、三人揃って帰宅は遅くなると昨夜のうちに聞かされていた。
つまり、この家には俺一人だけで御挨拶する相手などいないし、ヘタに挨拶されても迷惑なのだが、それよりももっと気になるのはこいつを家に上げていいものかということ。
上げたら最後、すぐに帰るとは思えないし、夜になるまで誰も戻らないという状況で彼と二人きりだなんて、と不安を感じている俺は貞操の危機に怯える純情可憐な乙女ですか?
笑っちゃいそうだけど実際、笑い事じゃない。男同士でセックスが成り立つのだから、男にだって後ろの貞操の危機は存在する。
「話は明日にするから、今日はもう帰ってよ」
「どうして? 婚約者だの何だのって、みんなに言いふらした僕に抗議したくてうずうずしていたくせに。練習中もずっと睨んでいたでしょう、視線が痛かったよ」
そこまでわかっていながら、敢えてこんな手段を取ったのか。次は何を企んでいるのやら、油断が出来ない。
「いいから早く。送ってくれてありがとうございました、お気をつけてお帰りください!」
何とか突っぱねようとしたが、却って怪しまれてしまったらしく「やっぱり挨拶して行く」と強引に車を降り、門扉をくぐった聖爾のあとを俺は慌てて追った。
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