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御宅訪問 お邪魔しま~す 5

 ここぞとばかりに、俺の屁理屈は続いた。 「無理してホモを続ける必要あるのかな? 女と仲良くして、普通に結婚すればいいじゃないか。男は女を求めるのが自然の摂理だろ」 「それは桃園さんのことを言っているの? 研究室で初めて顔を合わせて、その日のうちに彼女からのアプローチがあったよ。美人だし、魅力的なのは認めるけど、ああいう性格の人は苦手なんだ」  あの女の性格が悪いというのは聖爾だけではなく俺も、青柳たちも、そして教授も含めてⅡ研の人全員が承知していると思う。 「別にプル、じゃない、あの人とつき合えなんて言ってねえよ。あんたほどの男なら引く手数多だし、それこそ選び放題だろうが」  俺の脳裏には和室を訪れた時の、入り口の前で二人の女の子に囲まれた聖爾の姿が映し出されていた。彼女たちやプルプル女に限らず、聖爾とお近づきになりたいと思っている女はたくさんいるだろうし、ヤツの人生二十二年間で、どれほどの数の女がそれを願ってきただろう。  それなのに、ガキの頃に一度会っただけの俺の存在に、どうしてここまでこだわるんだ?  だが、こっちが訊く前に、聖爾の方から問いかけてきた。 「君につき合ってる相手がいないのは調査済みだけど、今さら好きな女性がいるなんて言うんじゃないよね」 「そ、それは……」

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