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勃発! 合奏バトル 7
俺に代表を頼んだらどうだと、土方さんに入れ知恵したのはこいつとみて間違いない。婚約者云々までバラしやがって、クソッ!
「なんたって二連覇の実績があるんですもの。今年もバッチリ優勝狙っちゃうから、部室の獲得は期待していいわよ」
自信満々に言い切る彼女に呆れていると、聖爾が三絃のケースを持って入ってきた。
昨日ウチの客間でされた行為を思い出して、気恥ずかしくなった俺はつい、うつむいてしまったが、赤木は援軍が来たとばかりにそちらへ駆け寄った。
「豊城さん、いいんですか?」
「いいって、何を?」
切羽詰った様子の赤木を見て、聖爾は不思議そうに首を傾げた。
「学園祭の美人コンテストですよ。応援団にも依頼されているけど、三曲同好会から出場するのはミサオちゃんでしょ?」
さあ、この問題にフィアンセとして何と答えるのか? 固唾を呑んで見守るみんなの、その視線を一身に集めた聖爾は「コンテストか。部室が欲しいのはもちろんだけど、美佐緒さん自身はどうするつもりなのかな」と、話をこっちに振ってきやがった。
「どうするって……」
そのセリフ、土方さんを取るのか、それとも友情を取るのかと俺を試している? 頭の中をいろんな考えが駆け巡り、語尾が濁る。
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