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勃発! 合奏バトル 8

 女の格好はもうたくさんだが、こうなった以上やむを得ないと、コンテストに出場する決心は固まった。ならば、憧れの人からの頼みには何としても応じたいし、俺が応援団代表でプルプル女は三曲代表というのも動かせないだろう。赤木たちを裏切るみたいで心苦しいし、あの女の思う壺にハマッたとあって、それはそれでムカつくが。 「……わかりました。応援団の代表、引き受けますから」 「マッ、マジで! 本気で言ってるの?」 「代表候補が二人いるなら、どちらか一人は仲間のサークルにまわった方がいいだろ」  応援団団員であっても、土方さんと黄山は同好会の仲間でもある。仲間のピンチを見捨てるわけにはいかない。俺が出した結論に、確かにそれ以外の方法はないとみんなも納得したようで、異議を唱える者はいなかった。  聖爾はと見ると、平静を装っているけど目が動揺している。本当は応援団代表つまり、俺には土方さんの側についてもらいたくないけれど、この状況じゃあ反対できっこない。そんなジレンマを感じているんだろう。  ありがとうと土方さんが礼を言い、それにつられるように黄山もペコリと御辞儀をした。 「自分たちに出来ることは何でもしますから、遠慮なく言ってください」 「はあ。でも、いいのかな。一芸っていっても、箏を弾くぐらいしか……」 「充分すぎるほどです。あの素晴らしい演奏なら、絶対に大丈夫です」

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