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誠さんと二人きりで……? 11

「美佐緒、お客様ですよ」  げっ、何でこいつまで現われるんだ?  嬉しそうな品子ババアに案内されてきたのは何と聖爾で、ヤツの登場に大喜びの御袋、混乱する俺、ところが聖爾の姿を目にした誠さんは恥ずかしそうに目を伏せると「きょ、今日はこれで失礼しますぅ」と挨拶して立ち去り、その場は何ともいえない奇妙なムードに包まれてしまった。 「あの方、大丈夫かしら? まあ、本人が帰るって言うんだからしょうがないわね。聖爾さん、せっかくだからお薄でもあがっていらして。準備してきますからお茶室へどうぞ」 「はい、ありがとうございます」  ババコンビが出て行くのを見計らい、俺は「いったい何の用だよ」と詰め寄った。 「特に用はないけど、この前来たとき御挨拶出来なかったでしょう。今日は休みだし、皆さんお揃いかと思って。御祖母様は初対面だからね、会えて良かったよ」  へえー。何だか嘘臭いけど、俺は敢えてツッ込むのをやめた。 「ところで君たちは合奏の練習だったの?」 「そうだけど、土方さんの具合が悪くなっちゃったからおしまい。だいたい御袋が酒まんじゅうとか、変なもん食わせるから……」  それでも邪魔が入ったという気持ちにはならなかった。こいつに会えてホッとした。そんなふうに感じて戸惑う俺に、聖爾は「僕なら何を食べても大丈夫だよ」と微笑んだ。 ──結局、聖爾は夕飯まで食っていった。

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