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いよいよ本番……絶体絶命、大ピンチ! 5

「キュートでセクシーな宇宙人コスチュームで今年も優勝いただきよ」  自信満々に言い切るホイル焼き女、キュートでセクシーは結構だが、演奏は何とかなったんだろうか。いや、人のことを気にしている余裕はない。  御袋の指示に従って洗顔を済ませた俺は化粧、そして十二単衣を着てから鬘をつけた。豊かな黒髪がふわりと下りて、自分でも平安時代の美女になったような、不思議で、くすぐったい心地だ。豪華な衣裳をまとったかぐや姫が完成すると、赤木たちも、そして先に着付けを終えて凛々しい帝の姿になっている誠さんもホーッとため息をついた。 「ミサオちゃん、最高にキレイ」  聖爾はどうしただろう? 衣裳提供者にも見てもらいたいとその姿を捜すと、彼もまた銀ピカの服を着ているのが見えた。合奏相手に合わせて宇宙人、というよりは地球防衛軍の隊員みたいな格好になっている。あれで光線銃を持ち、ヘルメットをかぶれば完璧だ。  俺の視線を受け止めた彼はにっこり笑って手を振ってきたが、その手に飛びかかるようにして動きを止めたホイル焼き女は次に、ギロリとこちらを睨んだ。 「ライバルに手なんか振らないでよ、もう」 「わかった、わかった」  彼女をなだめる聖爾の表情がとても優しく見えて、俺の胸はズキズキと痛んだ。あれはついこの前まで、俺だけに向けられていたものなのに…… 「ほら、もうすぐ出番だって。行きましょう」  女に背中を押された聖爾の姿はドアの向こうに消えた。  今日までの練習期間中、彼と桃園恭子の関係がどう変わったのか、俺はまったく関知していない。

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