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いよいよ本番……絶体絶命、大ピンチ! 7

 邦楽器を使った音楽のジャンルには何某検校作曲による伝統の古曲、主に宮城道雄が作曲した新曲と呼ばれるものの他にも現代邦楽、略して現邦と総称される曲があって、これはその名の通り、かなり現代的でクラッシックのような感じの音楽であり、現役のプロが作曲する場合もある。  そしてそれらを発表会などで演奏する際は緋毛氈の上に正座するのではなく、立箏台を使って椅子に腰掛けて行うことが多いが、この立箏台、現邦演奏の時しか使ってはいけない、という取り決めはない。  向かって右側の立箏台の前にホイル焼きが座り、左のパイプ椅子に聖爾が腰掛けてスタンバイ完了。三曲同好会の代表で、箏と尺八の演奏を行うという主旨の紹介が終わり、拍手が会場中に響いた。  スポットライトが二人の姿を照らすと、神妙な面持ちをしていた彼女は最初のフレーズを弾き始めた。タン、タカタカタカタン……  あれ、ちゃんと弾けているじゃないか。さすがに特訓したのかなと思っていると、三番目のフレーズから聖爾の尺八、普通に用いられる八寸管より短くて音域の高い六寸管の音が曲の流れに、軽やかに加わった。  耳に馴染みのある曲に、会場の観客も聴き入っていたが、しかし、その状態は長くは続かなかった。演奏が進むにつれて、箏の手は難しくなってゆく。乱れ始めた絃方に尺八は何とか合わせようとするが、とうとう止まってしまい、二人の様子を観ていた人々が何事かと騒ぎ出した。

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