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ミスコン終了 それマジっスか? 3

 会場の審査員や観客たちが「何だ、何だ」と騒ぎ始め、その様子を見た女はフフンと鼻で笑い、今度は俺を指してさらに続けた。 「かぐや姫だか何だか知らないけど、あなたの演奏する曲は六段だったんでしょ。それを勝手に春の海に変えて、アタシのお箏やパートナーまで使って、いったいどういうつもり? そこまでして勝ちたいわけ?」 「そんな、ただ、箏の絃が切れていたから借りただけで……」  桃園恭子の乱入でこの場は大混乱。聖爾はどこへ行ってしまったんだ、早く収拾つけてくれよ!  その時、壮大な宇宙を舞台にした有名なSF映画(エピソードⅨまで完結)のテーマがスピーカーから流れて、いきなりの展開に俺たちは耳を疑った。  舞台の袖から現れたのは聖爾、しかもその手に光線銃みたいな形のプラモデルを持っている。あ、あれは水鉄砲じゃないか。赤や緑に光る剣が出てくるのかと思ったぜ。 「そこまでだ! 姫の帰還を妨害する邪悪な宇宙人め、おとなしく星へ帰れ!」 「な、何言ってるの?」  突然浴びせられた意味不明なセリフに桃園恭子は信じられないという顔をしたが、彼女だけじゃない、俺たちだって何が何だかわからず、この地球防衛軍隊員の小芝居をポカンとして見つめている。 「姫の箏の絃を切ったのはおまえの仕業だろう、そんな卑劣な行為は許されないと思え」 「言いがかりはよしてよ。絃を切った、ってどこにそんな証拠があるの? アタシ、ライトの傍になんか行ってないわよ!」  これまで何度も目にした不敵な笑いを浮かべ、聖爾は自信満々に言い放った。

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