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ミスコン終了 それマジっスか? 8

「ウォイッス! どうもありがとうございました!」  野太い声で一斉に言われると、御礼というより脅されている感じがして、すっかり腰が引けてしまった俺は「い、いえ、どういたしまして」と遠慮がちに答えた。 「さあ、それでは駆けつけ一杯」  グラスを持たされ、そこに一升瓶からなみなみと注がれた酒を見て、俺はますますビビッてしまった。 「日本酒は苦手なんで、ビールにしてく……」  すると、その様子を見ていた黄山が「まともに酒も飲めないヤツがのこのこ顔出すんじゃねえよ」と吐き捨てた。  俺が応援団の代表と決まってから、黄山には敵視される場面が多くなった。あの時、誠さんと一緒に頭を下げたくせにどういうつもりなのかわからず、また、彼の気に障るようなことをした覚えのない身としてはとても不愉快だったが、今夜は一段と態度が悪い。 「あん? なんだ、そのツラは?」 「いや、その、別に」  すっかり酔っ払いの黄山は茹でダコのような真っ赤な顔をして、グラスのビールをもう一杯あおると、さらに絡んできた。 「こんな……のどこが……だか」  舌がもつれるらしく、何を言っているのか聞き取れないが、かなりヤバイ雰囲気。聖爾の忠告どおり、これ以上この場にはいない方がいいと判断した俺は二人を連れ出すのは諦めて、三階の部室に戻ろうと考えた。 「三曲に行くから待って」

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