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ミスコン終了 それマジっスか? 9

 声をかけてきたのは誠さんだった。こちらも目の縁を赤く染めて、とろりとした視線を向けているのが妙に色っぽい。誠さんの行動を見咎めた黄山は「無断で勝手なことをするな!」とわめき散らした。  この二人、どちらかといえば団長である誠さんに副団長の黄山が従っているように見えたんだけど、今は関係が逆転してるみたい。こりゃあ、いったいどうなってるんだ? 「少しくらいいいじゃない。あっちにも顔を出すって言っちゃったんだものぉ」  頬をふくらませて、拗ねた表情をする誠さん、何だか様子がおかしいぞ? そういえばウチで御袋に酒まんじゅうを食べさせられた時もそうだった。彼は酔うと言葉使いも仕草も女っぽくなってしまうらしいが、その姿はまさにオネエ。クールで無口、男らしい硬派のイメージが崩れていく。  早くここから離れようとする俺のあとを誠さんが、そしてその後ろを黄山が追ってきた。  あとでわかったことだが、男らしさを強要される生き方を続けてきた誠さんはその反動でオネエになってしまい、同性にも興味を持つようになったらしい。女らしさを強要されていた俺とは正反対、普段は硬派・バンカラで通しているけれど、酒が入って気持ちが解放されると本性が現れてしまうのだ。  そして誠さんは同じ性癖を持つ仲間、黄山と出会った。オネエの人って、マッチョで逞しい男が好きだというのが俺の認識だったけど、そう簡単にはくくれない。  二人の関係は応援団内では公然の事実だったが、団長はオネエで、しかも副団長とつき合っているなんて知られては大変なので、団員たちは外部に漏らさないように注意を払い続けていた。なんつーか、御苦労様としか言いようがない。

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